芸能

NiziUや躍進するBE:FIRSTも “絶対的エース”から“全員エース”の時代へ

公式HPより

NiziUも”全員エース”というグループ(公式HPより)

 これまでグループアーティストは、「絶対的エース」が歌唱、ダンスでもメンバーを引っ張り、グループ内で中心的な役割を果たすケースが多かった。そうした傾向に近年、変化が見られるという。「全員エース」というグループの活躍が目立ってきたのだ。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんがその背景について解説する。

 * * *
『スッキリ』(日本テレビ系)で連日放送されたボーイズグループオーディション「THE FIRST」から誕生したBE:FIRSTの快進撃が話題を集めています。

 プレデビュー曲の「Shining One」が週間ダウンロード数3.1万DL、週間再生数1013.6万回を記録し、8月30日付のオリコン週間デジタルシングルランキング、週間ストリーミングランキングで2冠を達成。今月13日に7人のメンバーが発表されたばかりであり、その勢いが数字に表れています。

 彼らをプロデュースするSKY-HIさんは、当初からグループのコンセプトを「クリエイティブファースト、クオリティファースト、アーティシズムファースト」「意志がある。主張がある。メッセージがある。だけどお互いを尊重し合えるグループ」と語っていました。

 25日の『スッキリ』でも、MC・加藤浩次さんの「すべてのメンバーがセンターになれることを最初から考えていたんですか?」という質問に、「彼らはライバル関係ではあるんだけど、ただ競い合う、蹴落とし合うのではなくて、高め合う絆を大事にしてほしいなと思っていたし、実際にそれができている方だったので。そうなるとパフォーマンスしたときに、自分が輝くときは全力でいくし、ほかの人が輝くときは全員で立てられるし、それが代わる代わる起こるので、見ている人が目も耳も楽しくなり……」と熱っぽく語りました。

 さらにSKY-HIさんは、「グループの中にリーダーを作らない」ことも名言。その理由を「直接連絡が取れる(近い関係性な)ので、悩みごとがあってもすぐ投げてもらえばいい」と言っていました。つまり、「BE:FIRSTのメンバーに優先順位はなく、全員がエースでありセンターのグループ」ということ。実際にこの日のパフォーマンスでも全員がセンターで歌って踊り、他グループで見られるようなマイク電源をオフにしているメンバーはいませんでした。

かつては時代がエースを求めていた

 これまでのグループアーティストは、「絶対的なエース(センター)を踏まえてメンバーを構成し、歌やダンスを作っていく」という形が一般的でした。エンタメ業界内でも、ファンの間でも、「エース(センター)が誰なのか」が売れる必須条件のように言われ、彼らを報じるメディアも「エース(センター)がいるほうがトピックスは立ち、番組や特集が組みやすい」と考えてきたのです。

 しかし、このところBE:FIRSTのような「全員エース(センター)」という印象のグループが増えてきました。女性グループの中では昨年デビューしたNiziUも、個々にしっかり見せ場を作る形のパフォーマンスやメディア出演が多く、基本的にエースやセンターという概念はほとんど見られません。また、日向坂46はセンターというポジションこそあるものの「全員選抜」という形式を採用し、乃木坂46はライブで全員がセンターで歌う企画を繰り返しています。

 もともとグループにおけるエースやセンターというポジションには、歌とダンスの技術、顔と身長などのルックス、人気などを踏まえて決めてきた歴史があり、昭和の時代から続いてきたもの。AKB48グループがそれをフィーチャーした企画やプロモーションを連発したことで、あらためて脚光を浴びていましたが、東日本大震災が起きた2011年以降あたりから、「少しずつ時代に合わなくなってきた」というムードが生まれていました。

 多様性の尊重が叫ばれ、芸能人に対しても「競うより協力し合う姿」「ライバル関係より一体感」「ハラハラドキドキより癒し」を求める傾向が強くなり、むしろ絶対的なエースやセンターは「ゴリ押し」などと嫌われやすくなっていたのです。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン