8月が終わり、夏休みムードもなくなってきたが、「夏特番」はこれからが“本番”のようだ。毎年、おなじみとなっている夏の特別番組が、実は9月に放送されることが多いのをご存知だろうか。その理由とは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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4日(土)夜、『有吉の夏休み2021』(フジテレビ系)が放送されます。この番組は、日ごろ多忙な有吉弘行さんが夏休みを楽しむ様子に密着した旅バラエティ。今回も有吉さんと9人の後輩タレントがグルメやアクティビティ三昧を楽しむ様子が予告されています。
『有吉の夏休み2021』の放送が発表されたとき、ネット上には「待ってました!」「観ているこっちまで楽しくなっちゃいます!」などのポジティブな声が飛び交っていました。今年で9回目を数えるだけに、恒例の夏特番として定着しているのでしょう。
“恒例の夏特番”と言えば、9月2日に『鳥人間コンテスト2021』(読売テレビ・日本テレビ系)が放送されたばかりで、9月10日にも『第41回全国高等学校クイズ選手権』(日本テレビ系)の放送が予定されています。
「あれ? 8月じゃなくて9月に放送されていたんだ」と思った人もいるのではないでしょうか。この3番組は“夏特番”というムードを漂わせながらも、実は9月に放送しているのです。いつから9月の放送になり、どんな理由が考えられるのでしょうか。
夏の風物詩だが2番手のポジション
まずいつから9月の放送になったのか? 『鳥人間コンテスト』は全42回の放送中、8月が22回で、9月が20回。数年ごとに8月放送と9月放送が入れ替わる形で続いてきましたが、ここ4回は8月放送が続いていて、今年はひさびさの9月放送になります。
『全国高等学校クイズ選手権』は全41回の放送中、8月が15回、9月が22回、12月が4回。実は1999年以降で8月に放送されたのは2回だけであり、すでに9月が定着していました。ただ、ここ10年間の大半はそれまで放送されていた9月第1週から第2週に遅くなるなど、より“夏”という季節から離れています。
『有吉の夏休み』の放送は、これまで9月7日、9月6日、9月19日、9月3日、9月2日、9月1日、9月7日、9月5日、9月4日。今年を含めて9回すべて9月に放送されています。では、なぜ9月の放送なのに「夏休み」という夏を前面に押し出した特番なのでしょうか。
もともとこの番組は2013年に「有吉さんの100時間にわたる夏休みに密着」というコンセプトでスタートしました。その後、2018年は120時間に密着しましたが、現在は77時間で定着。つまり、それだけ長時間にわたる映像を編集しなければいけない上に、「夏が終わったあとに夏休みを振り返る」という番組のテイストもあって、9月早々の放送が最適なのでしょう。
また、『鳥人間コンテスト』と『全国高等学校クイズ選手権』は日本テレビ系列の特番だけに、さらに大きい特番である『24時間テレビ』の翌週以降が適正ポジション。加えて、夏開催の学生イベントで最高峰と言われる甲子園大会の終了後という点でも、9月上旬の放送がしっくりきます。
いずれも夏の風物詩と言える番組ではあるものの、他の特番やイベントなどの動向を踏まえると、必然的に2番手クラスのポジションになるということでしょう。特に今年は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される中での編成だっただけに、決して遅くはなく、むしろ早いような感すらあります。