国際情報

習近平主席の「共同富裕」構想に1.3兆円の寄付 貧困撲滅実現は

1.3兆円もの寄付が集まった背景は?

1.3兆円もの寄付が集まった背景は?

 中国の習近平国家主席が、所得の規制や再分配などの「共同富裕」の実現に向けた概要を示し、国内の富裕層に警告を発したところ、10日も経たないうちに、中国の大手ハイテク企業を中心にすでに日本円にして1兆3000億円も寄付金が集まっていることが明らかになった。

 中国ネット通販最大手のアリババ集団が本社を置く浙江省杭州市のトップ、周江勇・中国共産党杭州市委員会書記がアリババ集団との癒着を疑われて、失脚するなど、中国当局によるハイテク企業への締め付けが厳しくなっているためとみられる。ネット上では「億万長者の企業家たちは、自分もその対象になるのではないかと戦々恐々としているようだ」との声も上がっている。

 中国国営の新華社通信によると、中国共産党中央財経委員会は8月17日、高所得の企業や個人に対して、その資産を適度に社会に還元すべきだとの趣旨の方針を打ち出した。

 習氏は2012年秋に党総書記に就任して以降、貧困地区を地方視察をするたびに「共産党は貧困撲滅と『小康社会(適度にゆとりのある社会)』の実現を最優先している」と強調してきたものの、中国の所得格差は年々、拡大するばかりだった。上位20%が下位20%の所得の10倍以上の資産を保有、さらに、上位10%の富裕層が中国の総資産の63%を独占しているとの統計も出ている。

 このような富のアンバランスを是正しようと、習氏は最近、多くの資産家を輩出してきた国内ハイテク産業に対する締め付けを強化。著名な実業家らをもてはやす風潮の行き過ぎも批判している。

 とくに、中国当局はアリババ集団の子会社の株式上場にストップをかけたり、独占禁止法違反の名目で日本円にして約7800億円もの史上最大の罰金を科したほか、米国の証券取引所に上場した他のハイテク企業にも多額の罰金を命じるなど圧力を強めている。

 このようななか、「中国のスティーブ・ジョブズ(アップル創始者)」と呼ばれる、中国のスマートフォーンメーカー、小米(シャオミー)創始者の雷軍氏ら7人の億万長者が計50億ドル(約5500億円)を寄付した。これは2020年の中国全土の慈善寄付金総額より20%多いという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン