そうした面が「統率力」(2点)の評価の低さにつながっている。
「国民への発信力は高いが、派内でも『人の意見に耳を貸さない』と言われ、周りに人が集まらない。ワクチン担当として接種体制を急ピッチで広げてきたが、本人の力ではない。バックに官僚統率力が高い菅首相がついているから役人は従っているだけ。河野氏が総理になってトップダウンで何かやろうとしても、官僚組織も党内もついてこないのでは」(野上氏)
最初に総裁選出馬に名乗りをあげた高市早苗・前総務相は総合点で河野氏と同率位(23点)だが、「決断力」(7点)と「統率力」(3点)、「共感力」(3点)のように評価は両極端に分かれた。
「高市は憲法改正や男系天皇の維持など、自分の主張を丸出しにして総裁選に討って出た。勝敗より、党内のタカ派を結集するのが自分の使命だという出馬の目的がはっきりしている」(泉氏)
「彼女は安倍前首相に出馬を勧めたが、断わられたから自分が出馬すると語っている。しかし、安倍氏は持病の悪化とはいえコロナ禍で退陣し、国政の遅滞と混乱を招いた人物。それを恥じているようには見えない安倍氏の再々登板を望む政治センスが総理にふさわしいとは思えない」(野上氏)
「総務大臣時代にNTTから接待を受けていたことが報じられましたが、開き直っていました。これでは国民の共感を呼べません」(小沢氏)
総裁候補5人の評価を聞いて、この中に、「総理になれば菅首相より政治は良くなる」と期待できそうな政治家は何人いるだろうか。
※週刊ポスト2021年9月17・24日号