呼びかけ人「70人」リスト
9月17日に告示される総裁選には岸田文雄・前政調会長、高市早苗氏に続いて河野氏が正式に出馬表明し、岸田VS河野の事実上の一騎打ちの展開になる可能性が高いと見られている。そこに90人もの若手議員が総裁選で一致した行動を取れば、勝敗を左右する影響力を持つのは間違いない。
だが、票の一本化はそう簡単ではなさそうだ。呼びかけ人の3回生議員の1人が語る。
「今回の総裁選で誰が総理・総裁になるかは総選挙での当落にかかわる。派閥に指示されたからといって望まない人に投票したくない。細田派のメンバーなら、安倍前首相が推す高市早苗さんには入れたくないという人いるし、麻生派には岸田支持も、河野支持の人もいる。だからといって、会としてまとまって候補の1人に票を入れるという話にはなっていない」
入会希望者を募る趣意書にも、わざわざ、〈我々は、 特定の候補を支持するために集まったのではない〉と支持を1人に絞らないことを明記し、入会しやすくしているほどだ。それでも、この90人の若手集団が覚悟を問われるのは、総裁選が決戦投票になったときだろう。
自民党では最大派閥の細田派、麻生派など多くの派閥が締め付けに反発する若手の声に押されて事実上の自主投票にする流れとなっている。しかし、議員票と党員票を合わせた1回目の投票で誰も過半数が取れず、国会議員による決戦投票になった場合、各派閥とも、どちらに投票するか派内を一本化したうえで、所属する若手議員にも派の方針に従うように強い締め付けが行なわれるとみられている。そのとき、派閥に従うかどうか。
「1位と2位の候補の決戦投票になり、もし、党員投票1位で国民の人気も高い候補が、派閥の談合によって2位の候補に逆転負けしそうになったらどうするか。そんな派閥の談合、長老支配に従えば選挙で批判を浴びる。そのときは、若手の多くが『民意を尊重すべきだ』とまとまって1位の候補に入れようという動きが起きるのではないか」(同前)
もっとも、自民党ベテラン組は、こうした若手の動きを「選挙目当てのパフォーマンス」と冷ややかに見ている。
「『自民党はかつての反省を忘れた』とは聞いて呆れる。党改革と言いながらメンバーは選挙を控えた衆院議員だけで参院議員はいない。しかも、大半は政権交代後に安倍人気で楽に当選してきた“魔の3回生”じゃないか。いくら選挙が危ないからと言って、自分たちの言動を棚に上げて責任転嫁とは情けない」(閣僚経験者)