何を「平等」と考えるか
ここで、男女を「平等」に扱うとはどういうことかを素朴に考えてみたい。
まず、合格ラインを男子100名、女子100名で区切ったとすると、当然男女で合格最低点は異なってくる。どの学校も一律に男子のほうが高くなったり、女子のほうが高くなったりするわけではなく、男子に人気、女子に人気で倍率が異なり、それに応じて合格最低点も異なってくる。
男女の合格ライン(合格最低点)を同一にするというやり方もある。これだと年度によって男女の人数が異なってくる。
先にも述べたように筆者は「男女別定員」が当たり前の世界で育ってきたので、後年仕事で地方の公立高校を取材したときは、「年度により男女の数が異なると学校運営に支障が出ることはないのですか?」とよく聞いていた。だが、他県では「男女合同定員」が当たり前なので、質問の意味が分からないという反応であった。
そこで今回、年度によりどのくらい違うものか調べてみた。新宿高校と国分寺高校について見てみよう。
〈新宿高校〉
・高2/男子136名・女子179名
・高3/男子140名・女子181名
<国分寺高校>
・高2 /男子157名・女子163名
・高3/男子146名・女子171名
ともに女子のほうが多いが、これは女子にとっては女子の定員の少ない「男女別定員」の学校より「男女合同定員」のほうが好ましいからである。また、例年学校運営に支障が出るほど大きくは変わらないことがわかる。
今後望ましい方向
いま公立学校においてはジェンダーが回避される方向にある。一例を挙げると、2022年度入試において神奈川県立の相模原中等教育学校、平塚中等教育学校は募集定員を男80名・女80名から男女計160名に変更する。
「男女別定員」という表記から、つい男女で合格者数を同じにすることが解決策のように捉えてしまう方が多いと思うが、実際は合格ラインを同一にすることが解決策なのである。
今後多くの学校が神奈川県立の中等教育学校のような方向に進むと思われ、都立高校も長期的にはそうなるのではないだろうか。