国内

廃止論高まる都立高の「男女別定員」 合格者数を同じにすれば解決する問題なのか

全国で唯一「男女別定員制」を続ける東京の都立高(イメージ)

全国で唯一「男女別定員制」を続ける東京の都立高(イメージ)

 全国唯一の“男女別定員制”で廃止論が高まっている東京の都立高校(全日制普通科)。入試合格ラインに男女差が生じている問題や、そもそもなぜ性別で分けて募集しなければならないのかといったジェンダー視点からの批判も多い中、東京だけ男女別定員を続けている理由とは何か。そして、今後はどう制度改正すれば平等なのか。高校受験に詳しい安田教育研究所の安田理氏がレポートする。

 * * *
「都立高校の男女別定員」が新聞やテレビ等で盛んに取り上げられているが、このテーマは以前から何度も議論されてきた。

 筆者もこのことについては取材を受けており、先日もあるテレビ局から電話取材を受けた。その時は、“女子が不利な状況”という視点から話が始まったのであるが、なかなか話が噛み合わず(どのレベルから話す必要があるのか苦労した)、何度も長い電話になった。

女子が不利な状況?

 女子が不利といっても高校受験全体ではそうとも言い切れず、そもそも私立高校を含めて高学力の女子の行き場が少なくなっている(レベルの高い中高一貫校の多くが高校募集を閉じている)背景も話す必要があった。

 その一方で、高校募集を停止した(する)学校以上に高校募集を再開した学校も多くあること、中学募集を止めて高校募集だけになっている学校もあること、共学化した学校がかなりあるため単純に女子校の募集定員だけを見れば数字が少なくなっている──といった現状もある。

 こうしたことを総合的に見ると、女子校が厳しくなっているとは言えても、女子の受験生にとって不利な状況になっているとは言えない、とテレビ局には話した。

 取材を受けながら感じていたことであるが、このテーマ「都立高校の男女別定員」はどのマスコミでも主として「ジェンダー秩序」の面から取り上げられており、2018年に私立医大の入試で女子が不利に扱われたことの延長線上で議論されている。

 だが、筆者のように長年受験事情に触れてきた立場からすると、「ジェンダー秩序」の問題以前というか、別の要素も複雑に絡んでいるので、とてもその視点だけでは論じられなかった。

関連記事

トピックス

俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン