ライフ

「ワクチン2回打てば安心」と思い込む高齢者が引き起こす社会の不和

2020年5月には、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため公園の大型遊具の使用が禁止されていた(時事通信フォト)

2020年5月には、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため公園の大型遊具の使用が禁止されていた(時事通信フォト)

 世界でも有数のスピードでワクチン接種をすすめ、いち早くマスクなしの日常をとりもどしたはずのイスラエルだったが、新型コロナウイルスが再度流行し、屋内マスク着用を再び義務化した。この事実からみても、ワクチン2回接種したことは、コロナウイルスと無縁の生活を送れる保証にはならない。ところが日本では、先に2回接種を終えた人たちのなかに、マスクも3密も気にしないどころか、ワクチンを打てていない人を差別するかのような言動を乱暴にぶつける人たちがいる。ライターの森鷹久氏が、ワクチン2回接種を終えた人たちの勘違いによって起きつつある社会の不和についてレポートする。

 * * *
 9月上旬、昼下がりの埼玉県某市内では、「新型コロナウイルス感染拡大中」であることを知らせる市の防災無線の放送が、不要不急の外出の自粛、消毒など感染対策を徹底するよう呼びかけていた。自宅でリモートワーク中だった市内在住の会社員・中原龍也さん(仮名・40代)は、この放送を複雑な思いで聞いていた。

「近くの公園では、ゲートボール大会が開催されていて、高齢の参加者が十数人はいたと思います。ボールを打つカーンという音は、早朝の7時頃から聞こえていて、ほとんど自宅から出られない娘(小5)は、うらやましそうに『いいなあ』と」(中原さん)

 実は、ゲートボール大会が行われていた公園には、数年前までは滑り台やブランコなど「児童公園」らしい遊具がいくつも設置されていた。娘が生まれてはじめてブランコに乗ったのも、はじめてかけっこをしたのもこの公園である。しかし、遊具に老朽化が見られると使用禁止の張り紙がなされたのは3年ほど前のこと。古い物が撤去され、新しい遊具が設置されるのかと期待していたが、跡地はガランとしたまま。

「ちょうどその頃、公園で遊ぶ子供の声がうるさいとか、ボールで遊んでいて危ないということで、公園内での禁止事項が張り出されました。ボール遊びは禁止、騒ぐのは禁止になりました。子供たちの場所ではなくなったんです」(中原さん)

 こうした経緯があっただけに、コロナ禍で外に出ることもままならない子供が、公園で楽しそうにゲートボールに興じる高齢者をうらやましく眺めていることに、正直腹が立った。高齢の自治会長にその「是非」を問うた所、返ってきたのは驚くべきき答えだった。

「私は、まだ自治体の接種を1回受けただけで、12歳にならない子供はそもそも打てない。高齢者はワクチン接種も早く、すでに2回打ったという方も多く、外出する人が増えているというんです。ワクチンを打てば、コロナにかからないから安全なのだと」(中原さん)

関連記事

トピックス

試練を迎えた大谷翔平と真美子夫人 (写真/共同通信社)
《大谷翔平、結婚2年目の試練》信頼する代理人が提訴され強いショックを受けた真美子さん 育児に戸惑いチームの夫人会も不参加で孤独感 
女性セブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン
ヒロイン・のぶ(今田美桜)の妹・蘭子を演じる河合優実(時事通信フォト)
『あんぱん』蘭子を演じる河合優実が放つ“凄まじい色気” 「生々しく、圧倒された」と共演者も惹き込まれる〈いよいよクライマックス〉
週刊ポスト
石橋貴明の現在(2025年8月)
《ホッソリ姿の現在》石橋貴明(63)が前向きにがん闘病…『細かすぎて』放送見送りのウラで周囲が感じた“復帰意欲”
NEWSポストセブン
決死の議会解散となった田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
「市長派が7人受からないとチェックメイト」決死の議会解散で伊東市長・田久保氏が狙う“生き残りルート” 一部の支援者は”田久保離れ”「『参政党に相談しよう』と言い出す人も」
NEWSポストセブン
ヘアメイク女性と同棲が報じられた坂口健太郎と、親密な関係性だったという永野芽郁
「ずっと覚えているんだろうなって…」坂口健太郎と熱愛発覚の永野芽郁、かつて匂わせていた“ゼロ距離”ムーブ
NEWSポストセブン
新潟県小千谷市を訪問された愛子さま(2025年9月8日、撮影/JMPA) 
《初めての新潟でスマイル》愛子さま、新潟県中越地震の被災地を訪問 癒やしの笑顔で住民と交流、熱心に防災を学ぶお姿も 
女性セブン
羽生結弦の被災地アイスショーでパワハラ騒動が起きていた(写真/アフロ)
【スクープ】羽生結弦の被災地アイスショーでパワハラ告発騒動 “恩人”による公演スタッフへの“強い当たり”が問題に 主催する日テレが調査を実施 
女性セブン
自民党総裁選有力候補の小泉進次郎氏(時事通信フォト)
《自民党総裁選有力候補の小泉進次郎氏》政治と距離を置いてきた妻・滝川クリステルの変化、服装に込められた“首相夫人”への思い 
女性セブン
ヘアメイク女性と同棲が報じられた坂口健太郎と、親密な関係性だったという永野芽郁
《初共演で懐いて》坂口健太郎と永野芽郁、ふたりで“グラスを重ねた夜”に…「めい」「けん兄」と呼び合う関係に見られた変化
NEWSポストセブン
千葉県警察本部庁舎(時事通信フォト)
刑務所内で同部屋の受刑者を殺害した無期懲役囚 有罪判決受けた性的暴行事件で練っていた“おぞましい計画”
NEWSポストセブン
2泊3日の日程で新潟県を訪問された愛子さま(2025年9月8日、撮影/JMPA)
《雅子さまが23年前に使用されたバッグも》愛子さま、新潟県のご公務で披露した“母親譲り”コーデ 小物使い、オールホワイトコーデなども
NEWSポストセブン