全国的に野球などが禁止の公園が増えていた(イメージ、時事通信フォト)
もちろん、ワクチンを接種さえしていれば新型コロナウイルスに感染しない、というのは誤情報である。ワクチンを2回接種した場合の有効率をみると、どのワクチンを使用しても100%にはならないし、引き続きマスクや手洗い、3密を避けるなどの予防は必要である。それでも、ワクチン接種していない場合に比べて感染しづらいので当然、他者にうつす危険性が低くなり、もし感染しても重症化しづらいというのがワクチンの「効果」とされる。
「昨年も、公園で子供たちが遊んでいたら、子供は感染源だから公園を使うなと言われたと、パパ友さんから聞きました。子供を優遇しろとか高齢者を優先しろ、ということは思いませんが、余りにも不公平です。子供はほとんど家から出られず、家でゲームしたり本を読んだり、以前はアウトドア派だったのに、引きこもりに近いような生活を強いられているんです」(中原さん)
ワクチンを打てば「安心」という現実を誤認した感覚は、いち早く2回の接種を受けられた高齢者の間で広まりつつある。その「証拠」とも言える現場を目撃したというのは、千葉県内の小学校教諭・細井香奈恵さん(仮名・30代)だ。
「通学路に、カラオケ喫茶があって、近くの高齢者の憩いの場になっていました。昨年、そこでクラスターが発生し、店は休業していたようでしたが、夏休み後半頃には、また以前のように高齢のお客さんが集まり始めていました」(細井さん)
カラオケ機器が設置された飲食店などに高齢者が集まり、昼から(早朝から、という場合も)飲酒や食事をしつつカラオケを楽しむ、という行為は、近年、高齢者の間でも広がりつつある一つの「レジャー」でもある。しかし、こうした店で昨年、相次いで高齢者のクラスターが発生し、テレビニュースや新聞でも大々的に報じられたことも、記憶に新しい。
「お店に戻ってきた高齢の方は、マスクもせずにお店の外に出てきては、ビールを飲みながら喫煙されたりしている。店は通学路上にあり、子供たちも見ているようで『おじいちゃんがマスクしていない』とか『外(の店で)でご飯が食べられてうらやましい』と言われました」(細井さん)
細井さんも、ここまでは「仕方がない」と我慢していたが、受け持つクラスの児童が漏らしたある一言に大きなショックを受けた。
「児童が、店の前に居た高齢者から『ワクチンを打ってないから外に出ちゃダメ、学校も休みにして欲しいと先生に言いなさい』と言われたそうなんです。児童はお母さんにも話したそうで、後に児童のお父さんが、お店に抗議されました」(細井さん)