「幸之助イズムの破壊者」と言われた元社長
早期退職制度で思い出すのが、3代前の社長で2000年に就任した中村邦夫氏だ。
創業者の松下幸之助の方針もあり、松下電器にとって人員削減はタブーだった。ところが中村元社長は、早期退職制度による「人減らし」に踏み切った。さらには「破壊と創造」を掲げ、幸之助が「発明」した事業部制も解体したことから、「幸之助イズムの破壊者」とまで言われた。
もっとも中村元社長は「創業者が生きていれば同じことをした」と語っていたが、松下電器にとってのターニングポイントであったことは間違いない。そうなると楠見社長も、中村元社長と同じ“破壊者”としてパナソニックを変えていこうとしているのだろうか。
楠見社長は元上司の津賀前社長以上に合理的だという。津賀前社長は「利益率5%以下の事業からの撤退」を方針として打ち出していたが、実際に撤退したのは数えるほどで、それもパナソニックの利益率の低さにつながっている。楠見社長ならもっと徹底的に事業の見直しを進める可能性は高い。