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北朝鮮が国産コロナワクチン開発 すでに労働党幹部らが接種か

ワクチンの大量生産に取り組んでいる?

ワクチンの大量生産に取り組んでいる?

 北朝鮮北東部の日本海に面する咸鏡北道清津市の羅南製薬工場勤務の研究員らが新型コロナウイルスのワクチン開発に成功したとし、首都・平壌市の中央医学研究所の所長として迎えられ、ワクチンの大量生産に取り組んでいるという。米政府系報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」などが報じた。

 北朝鮮当局はこの研究について「傑出した朝鮮式の開発成果」として、「朝鮮独自の自立した技術と、独自の原料と薬剤を用いて開発した感染症の治療と予防に効果があるワクチン」と高く評価しているという。研究員らは家族ともに平壌に迎え入れられ、高級幹部専用住宅を割り与えられるなど厚遇されている。

 彼らが開発したワクチンは北朝鮮の党・政府幹部に接種され、その後、金正恩朝鮮労働党総書記の側近ら高官にも接種されたという。しかし、VOAは「金氏が接種したかどうかは確認されていない」と伝えている。

 一方、VOAは新型コロナウイルスワクチンの公平な分配を目指す国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」を主導する国連児童基金(ユニセフ)の報道官からの情報として、北朝鮮がCOVAXから割り当てられたワクチン297万回分の権利を放棄し、自国への割り当て分を新型コロナで深刻な影響を受けている別の国に再配分しても構わないとの意向を伝えてきたという。

 このワクチンは中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製で、韓国の情報機関傘下のシンクタンクは7月、北朝鮮側は副反応を懸念してアストラゼネカ製の受け取りに難色を示すとともに、中国製の導入もためらっているとの分析を公表していた。

 北朝鮮がアストロゼネカ製や中国製のワクチンを拒否していることと、北朝鮮が独自のワクチンを開発したことと関連があるのかどうかは不明だ。

 しかし、北朝鮮の咸鏡北道の幹部は、地元の市民らに研究員が平壌に移住した事実を公表し、「党に対する無限の忠誠心と愛国心、そして体力と資質があれば、彼らのように平壌に住んでも、党からの恩恵を受けることができる」と称賛したという。

 また、咸鏡北道の朝鮮労働党委員会は「党の呼びかけに応えて成果を上げれば、たとえ普通の労働者であっても、持ち場で革新を起こし、永遠に党に忠誠を尽くす限り、党はその家族の面倒をみるのだ。すべての人は、党の呼びかけに応じて、関係なく闘争に身を捧げるべきである」などと指摘しているという。

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