国内

コロナ禍で広がる新たな性的搾取「ひととき融資」にすがる女性たち

新たな性的搾取「ひととき融資」とは

新たな性的搾取「ひととき融資」とは

 コロナ不況のなかで、女性たちが金を借りるために苦悩の選択を強いられている。経済的弱者を食い物にする男たちの手口を、ジャーナリストの河合桃子氏がレポートする。

 * * *

明日までに15万円

「消費者金融3社の審査が通らず、なんとしてもお金が必要だった。他に方法がなかったんです」

 そう言ってうなだれるのは、3人の子供を抱えるシングルマザー・智子さん(41歳仮名)だ。

 秋田県在住の智子さんはコロナ禍でスーパーのレジ打ちのパート収入が減ったことに加え、3人の子供が夏休みに入って食費がかさみ、それまで月収13万円でギリギリだった生活が破綻し始めた。

 親族から借りるあてもなく、最終的にネットで出会った男性と「性的関係」を見返りに現金を借りたという。

 このように金に困った女性に対し、セックスを条件に金を貸す「ひととき融資」がコロナ禍で流行している。ネットトラブルや女性の貧困問題に詳しいグラディアトル法律事務所の若林翔弁護士が解説する。

「ひととき融資という言葉は、3~4年前からSNSや個人融資の専門掲示板サイトで発生した、いわゆる“隠語”です。“ひととき”の時間を一緒に過ごしてくれたらお金を貸しますよ、という意味です。お金に困った女性が〈10万円の融資希望〉などと書き込み、メールアドレスも記載する。

 そこに融資できる男性が連絡をする流れですが、融資の条件に肉体関係を持ち出すんです。女性は消費者金融ですら借りられない低所得者など様々な事情を持つ人が多く、悩みながらも応じてしまう」

 金銭の貸付を行なうには貸金業法が定める登録を受けなければならないが、「ひととき融資を迫る男性の多くはヤミ金と同様にこの登録をしておらず、法定金利を超える貸し付けをするなど、貸金業法や出資法に違反しているケースばかり」(若林弁護士)だという。

 今年6月には千葉県の50代男性が、ひととき融資で法定金利を超える利子で現金を貸し付けたとして、出資法違反の疑いで逮捕された。冒頭の智子さんが語る。

「2年前に離婚してからは養育費をもらうことなく、パートで手取り13万円、家賃3万円、食費2万円、学生時代の奨学金と親の肩代わりとなった借金も合わせて7万円を返済しながら生活していました。

 でも2か月前に元夫が支払い遅延していたスマホが私名義だったことが判明し、総額10万円の出費が発生して限界に。消費者金融3社のネット審査を受けましたが通らず、途方に暮れてネットで『今すぐお金を借りる方法』と検索するうちに個人融資専用の掲示板を見つけたんです」

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン