中国放送の名物アナウンサー横山雄二

中国放送の名物アナウンサー横山雄二氏

“ライオンの甘噛み”

『進め!電波少年』で猿岩石がブレイクしたのは1996年だ。翌1997年、『KEN-JIN』という広島県内のローカル番組で猿岩石と初めて仕事を共にした中国放送の名物アナウンサー、横山雄二が当時のフィーバーぶりをしみじみと振り返る。

「もう、歩くところ歩くところパニックになってましたね。『KEN-JIN』はなるべく県出身者を呼ぼうということで、第1回目のゲストが吉川晃司さんで、第2回目が猿岩石だった。そこから半年とか1年くらいは、会うたびに僕らも誇らしかったのを覚えています」

 だが、いい時は長くは続かなかった。猿岩石と横山が出会って1年を過ぎたあたりから、2人の人気が急激に陰り始めた。横山はあっさりと言う。

「自然現象でしょうね。タレントなんて、凧といっしょ。上がったら、落ちるもんなんです」

 猿岩石のタレントとしての価値は大暴落した。しかし、番組制作も担当していた異色のアナウンサーである横山は、番組が終了する2005年まで有吉を起用し続けた(猿岩石は2004年に解散。以降は1人で出演)。その理由を問うと「憎めないやつなんですよ」と答えた。こんなことがあったという。

「当時、東京ロケをする時、僕らは六本木プリンスホテルに泊まっていた。広い部屋だったので、夜遅くまで飲んで、若い芸人さんは帰れなくなると誰かの部屋に泊まっていった。有吉も『僕も泊まっていっていいですか?』って言うから、いいよって言うと『明日の衣装がないんです』って言い出すんです」

 横山は衣装代として1万円を渡した。すると、有吉は六本木のドン・キホーテで衣類を買い込んできた。今まで着ていた服をゴミ箱に捨てて、翌日は、それらの新しい服でくる。そして、その日の夜も全く同じ行動を繰り返したという。

「新しい服を買って、昨日買ったばかりの服をまた捨てるから、それ、捨てなくていいんじゃない? って言ったんです。そうしたら、『芸能人は一度着たものはもう着ないんっすよ』って。先に風呂に入って、残りのバスタオルを全部ビショビショにされたこともあったなあ。そんで、こっちが困っているのを見て、ヘラヘラ笑ってるんです」

──それはからかっているのでしょうか?

「向こうからしたら、甘噛みみたいな感じなのかも。でも、ライオンの甘噛みって、まぁまぁ痛いじゃないですか」

 横山は有吉を「ライオン」と表現した。有吉の牙を何度となく目撃したことがあるからだ。

 あるラーメン店で取材をした時、もはや「過去の人」になっていた猿岩石に対し、店主が「テレビでよう見んやつがおるのぉ」と皮肉を言った。すると、有吉は差し出されたラーメンを黙って外に放り投げた。横山は慌てて「謝れ!」と注意したが、有吉は決して謝らなかった。横山が話す。

「落ち目の人間を笑うような奴は絶対にスルーしない。実は凶暴さを隠し持っているんですけど、普段はそれを一切、表に出さないんです。きついことを言っても、その後、すぐ笑いますよね。あと、その頃、社交辞令でサインを求めてくる人がけっこういたんです。有吉は、この人は本当はもらいたくないんだろうなと思ったら『有』って書いて○で囲んでました。手抜きサインです」

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