夏目アナのドレス姿はどうなる
「毒舌」という言葉から来る一般的なイメージは、厳しい批判をしたり辛辣な言葉で人をあざ笑う、鼻もちならない、上から目線といったものだろう。だが、有吉さんは毒舌を吐き大袈裟に笑うこともあるが、全部が全部一様にそうというわけではない。番組や出演者によってその度合いはコントロールされており、裏を返せば、いつどこでどんな言葉を吐くのか分からないという面白さも持っている。
10月6日の「NEWSポストセブン」の記事『有吉弘行“どん底”から這い上がった「毒舌王」の素顔を紐解く』では、ノンフィクションライターの中村計氏が彼を知る人物に話を聞いている。いくつかのエピソードから分かるのは、有吉さんには人の予想や期待とは違う言動をするところがあり、それが人に好かれ可愛がられる理由だということだ。
人の心には、予想や期待を裏切られると、違和感を感じながらもそれが印象に残りやすいという傾向がある。「エスカレーター効果」と呼ばれるこの心理的傾向は、こうだろうと思い込んでいるのに、いい意味で裏切られるとそれが好印象につながるのだ。有吉さんはおそらく、この効果を人に与えるのが上手いのだろう。毒舌を吐くのが当たり前になると新鮮さや面白味も無くなるが、毒舌に対する人々の先入観を武器に、その度合いやバランスをコントロールしながら、視聴者を引き付け、良い意味で裏切っているのだ。
毒舌を見たい、聞きたいという視聴者の期待を叶えつつ、不快感を与えない。わざとバカにしたように笑う時もあるが、そこに高慢さやあざけりも無い。視聴者に刺さる一言を放ったかと思えば、自身が大袈裟に笑うことで相手が反応しやすいよう計算されているところも見えてくる。「有吉はこんなものか」と思っていると、それを鮮やかに裏切り痛烈な毒舌を吐く。視聴者を裏切るタイミングと度合いの微妙なさじ加減が上手いのだ。
番組の最後、夏目さんが視聴者や番組に対し挨拶をした時、神妙な顔をしながら一緒にお辞儀をし「旦那みたいな顔をしてすみません」と照れ笑いのような、苦笑いのような笑みを浮かべた有吉さん。自分のことも“毒”のある笑いで周囲を楽しませる姿に、改めて今も人気を集め続ける理由を感じた。