国民不在の自民党総裁選が終わり、次は総選挙だ。今度は国民が主役となり、「1票」を行使して政治に物言う番がやってくる。総選挙で投票したい候補がいないなら、有権者が「ためにならない」と考える政治家を懲らしめる方法がある。それが落選運動だ。一言で言えば、国民が候補者の素行や過去の言動をチェックしてその事実を他の有権者に広く知らせ、当選させないようにする。やり方は、ネットやSNSでもいい。落選運動なら国民はいつでも政治家に「落選させるぞ」と主権者の力を示すことができる。
長老政治家たちの自民党支配は、彼らが率いる派閥の「数の力」に支えられている。総裁選の決選投票では最大派閥・細田派を牛耳る安倍氏と、第2派閥・麻生派を率いる麻生氏が岸田氏を圧勝させ、キングメーカーとしての力を見せつけた。「落選運動」ではそうした派閥のボスに従う子分たちの行状もしっかりチェックしたい。
とくに前回総選挙(2017年)で次点との得票差が小さい選挙区の議員に対しては、落選運動の「怒りの1票」が効果的だ。全国には、そんな「落選させやすい小選挙区」が多くある。本誌・週刊ポストは前回総選挙のデータから、自民党議員が当選した選挙区で、次点との得票差が小さい順に60の選挙区をリストアップした(別掲)。
反自民票がまとまれば
自民党は前回の総選挙で全289小選挙区のうち218選挙区で勝利した。選挙区の議席占有率は75%だ。
しかし、実は、選挙区での得票率は48%で、投票した有権者の半数の支持も得ていない。
なぜ、48%の得票で75%の議席を得ることができたのか。その1つの理由は、野党候補が乱立し、有権者の自民批判票が割れたことだ。
例えば、原発事故の廃棄物処理施設をめぐる「最後は金目でしょ」の発言で知られる石原伸晃氏の東京8区では、自民党、立憲民主、希望の党、日本共産党、諸派、無所属の6人の候補が争い、反自民票が分散したために石原氏は得票率が過半数に大きく及ばない39%でも当選している。
反自民票がまとまっていれば、石原氏の当選は危うかったといえる。