老若男女を囲い込む遊園地のコンセプト

 昭和の世界観を、商品という「点」でなく街という「面」で見せているのが、今年5月にリニューアルオープンした西武園ゆうえんち(埼玉県所沢市)だ。その中核施設が、「夕日の丘商店街」で再現した、昭和時代の熱気や人々の活気ある交流である。

 西武園ゆうえんちのリニューアル計画を任された、マーケティング集団「刀」を率いる森岡毅CEOは以前、インタビューでこう語っていた。

「1950年に開園した、西武園ゆうえんちのDNAとは何なのか、よくよく考えた結果、懐かしさや古さ、昔ながらの遊園地という、消費者の中にあるイメージをうまく逆手に取って、古いことがいいことだという文脈をどうやって作り出すかをまず考えました。

 そこで導き出したのが、昭和という時代性のコンセプトです。いまの子どもたちにとっては、昭和というと、もはやファンタジーの世界ですが、だからこそ若い世代にとっては面白いし、新しく感じる。

 一方、昭和時代を知るご年輩の方々にとっても懐かしい。そこで性別も問わず、老いも若きも囲い込める、唯一無二のテーマパークになるべきコンセプトを描いてみようと思いました」

 西武園ゆうえんちは、1988年に入場者数が約194万人とピークに達したが、3年前の2018年には約50万人と、往年の4分の1弱にまで減っていた。そこで、森岡氏が述べたように1960年代の街並みをモチーフに、大きな差別化へと舵を切ったわけだ。

 開園以降、緊急事態宣言が長期化したことなどもあり、真価が問われるのはコロナ禍がある程度収束した後になりそうだが、当初の思惑通り、Z世代を中心に若い人たちの集客で、ここまで一定の成果を上げているようだ。

昭和時代のコンセプトを前面に出して老若男女の集客に成功している西武園ゆうえんち(時事通信フォト)

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