ビジネス

なぜ昭和レトロな商品やサービスがヒットするのか 「写ルンです」や「商店街」など

園内に昭和時代の商店街を再現して人気を呼ぶ西武園ゆうえんち(時事通信フォト)

園内に昭和時代の商店街を再現して人気を呼ぶ西武園ゆうえんち(時事通信フォト)

 1990年代に女子高生たちの間で爆発的に流行ったルーズソックスが今再びブームになっていると話題だが、巷で見かける「昭和レトロブーム」は他にもたくさんある。世代を問わず、昭和の匂いが蘇る商品やサービスが受け入れられている理由は何か。また、レトロブームの“仕掛け人”たちは消費者のどんな反応を狙っているのか。経済ジャーナリストの河野圭祐氏がレポートする。

 * * *
「昭和レトロブーム」が続いている。昭和時代を知らない、特に25歳以下のZ世代にそのアナログさが新鮮に映るようだ。若い人たちが、グッときて心を揺さぶられた時に発する「エモい」という言葉も、昭和レトロなモノやコトに接した際のSNSなどでよく見かける。

 昭和レトロな代表商品の1つが、レンズ付きフィルムの使い捨てカメラ、「写ルンです」(富士フイルム)だ。「写ルンです」が発売されたのは1986年のことで、最盛期の1997年には年間約9000万本が売れた。

再び息を吹き返してきた使い捨てカメラ「写ルンです」(富士フイルム)

再び息を吹き返してきた使い捨てカメラ「写ルンです」(富士フイルム)

 だが、その後デジカメの普及や、スマホのカメラ性能も年々高まっていったのと反比例して「写ルンです」の販売は減少の一途を辿り、2012年には430万本まで激減している。しかし、2015年あたりを境に再び息を吹き返してきた。若い女性を中心に購買が再拡大しているためだ。

「ダサいけど温かみがある」

「写ルンです」には「失敗しても撮り直しのきかない特別感」や「フィルム独特のアナログな味わいや風合い」「現像に出してみないとどんな写真の出来なのかわからないドキドキ感」など、デジカメやスマホとは違った面白さがあり、使い分けをして楽しむ人も多いようだ。

 このほか昭和時代の歌謡曲やそのカヴァー曲も人気で、敢えてアナログレコードやカセットレコーダーで音楽を聴く人も増えており、純喫茶でクリームソーダを食して昭和感を感じ、ほのぼのまったりする若い女性も少なくない。

 若年層から「昭和時代のモノはダサいけど温かみがある」といった声も聞かれ、デジタルなら何事も早く済んで便利だが、スローで不便なアナログも、どこか自分に寄り添ってくれる、あるいは包んでくれるような温もりを感じるのかもしれない。

 加えて、1年半以上に及ぶコロナ禍でテレワークが普及し、オンライン会議が一気に増えたことで公私ともに対面機会が減り、孤立感を覚える人も増えた。そうした精神的疲労を癒してくれるものの1つが、昭和レトロなモノやコトといえるだろうか。

関連記事

トピックス

6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン