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2021.10.18 16:00  女性セブン

一雫ライオン氏『二人の嘘』を語る「大人が読める恋愛小説を書きたかった」

 高校を退学になり、19歳から35歳まで役者として生きてきた。転機が訪れたのは35歳のとき。

「役者といっても、役者として仕事しているのは1年のうち10日あればいいほうの、仕事のない俳優でした。30半ばになって、周りからも『そろそろあきらめろ』と言われ始めたときに、おれはいつも受け身で、本気で恥をかくことから逃げてたんだなとようやく気づいて、最後に劇団をつくったんです。

 脚本を書く人間がいなかったので、言い出したおれが書くよ、と書き出したんですが、書いた瞬間に、『こっちだな』と思った。メンバーにも『役者やめる』と宣言して、そこからですね」

 それからは、劇団だけでなく、テレビや映画にも活動の場を広げていった。

 小説を書き始めたのは、40代半ばからだ。

「脚本というのは、映画でもドラマでも舞台でも、大きな座組の一つで、監督や演出家、美術、カメラ、衣装、音楽と、それぞれの役割があり、さらに演じる俳優がいます。書き込みすぎると下手だと言われ、余計なことを書かないのがいい脚本とされるんです。小説家としては遅いスタートですけど、自分ひとりで、ゼロから世界をつくってみたくなったんですね」

 ふと嗅いだマイルドセブンの匂いでよみがえる、自分を捨てた母の記憶。脚本でいえばト書きにあたる細部が丹念に描かれている。

「紆余曲折あったなかで、さまざまな人に出会い、助けられてもきました。若い人にすすめられる生き方ではないけど、いろんな人に会えたのは自分の財産だと思うし、これからも人間を描いていきたいです」

【プロフィール】
一雫ライオン(ひとしずく・らいおん)/1973年生まれ。東京都出身。明治大学政治経済学部第二部中退。俳優としての活動を経て演劇ユニット「東京深夜舞台」を結成後、脚本家として活躍。2017年に『ダー・天使』で小説家デビュー。本作は『スノーマン』に続く第3作。「もう小説家一本でやりたいと決めて、2018年12月にタイトルから書き始めました」。次作への期待も高まるばかりだが……「そろそろ次作の執筆に取りかからなければと思っています(苦笑)」。

取材・構成/佐久間文子

※女性セブン2021年10月28日号

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