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松坂大輔の最高の笑顔に学ぶ“あきらめる”ことの本当の意味

松坂大輔

試合後に胴上げされる松坂大輔投手(写真/時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、引退を発表したプロ野球・西武の松坂大輔投手について。

 * * *
「好きなまま終われてよかった」と話し、引退を発表した西武の松坂大輔投手。10月19日、メットライフドームで行われた対日本ハム戦、背番号18を付け、1回裏のマウンドに立った松坂選手を見て、東京ドームで彼のデビュー戦を見たことを思い出した。

 1999年4月7日のあの日、高校野球は好きだがプロ野球を観戦しに行くほどでもなく、西武ファンでも日ハムファンでもなかったが、松坂選手見たさに球場に足を運んだ。甲子園で大活躍し、ドラフト1位で入団した彼の人気は凄まじく、東京ドームは試合開始前から人々の期待と熱気に溢れていた。

 その期待通り、1回裏の初登板でマウンドに上がった松坂選手はいきなり三振を奪う。3番の片岡選手には155キロという球を投げ、片岡選手は空振りでバランスを崩し転倒。あの瞬間、東京ドーム全体が歓声とどよめきで揺れたような感覚がしたものだ。期待以上のパフォーマンスを見せつけた松坂選手は、まさに“平成の怪物”だった。

 童顔で筋肉質ながら、細身ですっきりとした若きアスリートは、23年経って全てに貫禄がついていた。会見で「選手生活の後半は叩かれることが多かった」と語ったように故障に苦しみ、「本当は投げたくなかった」と本音を語った。どこまで投げられるか分からない“ダメな姿”でも、「全部さらけ出して見てもらおう」と最後のマウンドに立った松坂選手。最初に投げた球は高めに外れ、2球目は118キロのストライク、5球を投げてフォアボールとなり、彼の選手生活は終わった。

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