新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける12歳の少女。米・カリフォルニア州(EPA=時事)
親の同意が必要な小中学生だけでなく、ある程度の分別がつく年齢だとされ同意書が必要ない16歳以上でも、大人の意見や世論、ネット上の真偽不明な情報に敏感になり、子供達の間でも「分断」が起きているとも指摘する。前出の小学校教諭・村井さんは大きな危機感を抱いている。
「小学6年生ですから、中には中学受験を控えている子供もいます。ですが、ワクチンのことで頭がいっぱいになり、受験勉強どころではないという声が多く聞かれます。学校としては、厚労省や国の指導に従うしかありませんし、個人的には、早くみんなに打って欲しい。でも、私もワクチンの副反応が辛く、学校を2日ほどお休みした経緯があり、生徒もそれを知っているんですね。打ちたくないと考える生徒からは『大人でもきついのに、子供はもっと危なくないか』と詰め寄られ、自信を持って自分の意見が言えなくなってしまっている」(村井さん)
すでに国民の過半数が2度のワクチン接種を終え、日々の感染者数は減る一方である。居酒屋では酒類提供の条件緩和も進み、間も無くすると「Go Toキャンペーン」も再開される見込みだと報じられている。やはりワクチン接種は一定の効果がみられたと考えるのが妥当なように思われるのだが、それでも、ワクチンの危険性を指摘する極端な声は今なお存在し、繁華街では「反ワクチンデモ」も開催されている。
大人たちは、自分自身の考え方、責任の範囲内において判断すれば良いかもしれない。だが、子供たちはそうはいかない。基本的には、大人や世論に逆らうことができず、その影響で辛い目にあわざるを得ず、悲劇に見舞われている。私たち大人がヒステリックになっている様子を、子供達がしっかり見ているのだという現実を、そろそろ皆が自覚すべきだろう。こうした混乱こそが、デマや陰謀論が生まれる温床となっていることも明らかである。子供達が大人を信用しなければ、家庭も学校も会社も、そして国家自体が「成立」しないのだ。