ロンドン大学の研究で明らかになった6パターンとは
昔のクラスメートが娘を拒絶してしまう原因になる
「生理的嫌悪」が生じるのは、異性関係のみに限らない。都内に住む大林里美さん(仮名・42才)が、実の娘への複雑な心情を明かす。
「うちには中学生の娘と小学生の息子がいますが、昔から娘のことだけがどうしても好きになれません。息子に触られても何も思いませんが、娘に触られると生理的な嫌悪感が生まれます。娘を見ると小言が止まらず、反抗期の娘と口論になることも増えて、家庭内の空気は険悪です」
大林さんは、なぜ娘を受け入れられないのか自分でも理由がわからず悩み続けていると話す。心理療法に詳しい精神科医の前田佳宏さんは、親が自分の子供に対して抱く嫌悪感についてこう解説する。
「自身が子供時代に嫌な思いをした経験があって、無意識のうちに、その嫌な経験を身体が覚えている場合がある。よくあるのが、自身の母親との関係。『母親にこういうことをされた』『こうしてほしかったけれどかなわなかった』『自分ががまんしてきたことを自分の子供はできている』などのモヤモヤが原因となり、生理的嫌悪という形で子供に対して現れてしまうのです。さまざまなケースがありますが、たとえば自分の中の“長女”にまつわる何らかの嫌な記憶により、“長女”だけに嫌悪感を抱くこともあります」
原因となるのは、母親との関係にとどまらない。たとえ家族との関係が良好だったとしても、自分自身が嫌な経験をした年齢に娘が近づくと過去を思い出し、無意識に嫌悪を覚えることもあるという。
冒頭でフワちゃんに生理的嫌悪を抱く人々の話をしたが、その「正体」も過去の実体験に隠されている可能性がある。
「フワちゃんは個性的なキャラクターが特徴ですが、彼女に嫌悪感を抱く人は学生時代に個性的な同級生がいて、『その子に振り回された』『その子のせいで損した』というモヤモヤした記憶を持っているケースもありえる。人間の安心安全というのは“ありのままの自分”でいられるかどうかが大切なので、フワちゃんのような人がいる環境でがまんしてきた人は、フワちゃんを見るとネガティブな気持ちだけが出てくることがある」(前田さん・以下同)
フワちゃんのような友人が身近にいた記憶がないという人は、何をしでかすかわからない未知のものへの恐怖が嫌悪感の正体の場合もある。
「人間は想像ができる生き物です。勝手に不愉快な未来を予測して嫌悪を抱くこともある。これは脳が発達した人間ならではです」
取り越し苦労ともいえるが、事前に危険を察知するための大切な能力でもある。