とりわけ『くりぃむナンタラ』では、「ウルフ・アロン選手を有田哲平さんが遠隔操作する」という企画に合わせてボケを連発し、次々に笑いを巻き起こしていました。明らかに業界内でバラエティ特性を評価されている様子が伝わってきますし、まだまだオファーが増えそうなムードが漂っています。
ウルフ・アロン選手が業界内で評価されているのは、昭和のころから年齢層を問わず印象のいい「気は優しくて力持ち」というタイプのアスリートであること。柔道界で「強さの象徴」と言われる重量級の王者でありながら、常にニコニコと笑顔を絶やさない穏やかな物腰が目につきます。また、時にとぼけた表情を見せ、服の間から胸毛や腕毛をチラつかせるなど、まるで、ゆるキャラのような脱力感を漂わせていることもポイントの1つでしょう。
その上、制作サイドの意図を汲んでノリよくボケられるため、作り手にとっては「笑いの手数」という意味で計算ができる存在。「バラエティの出演者は同じ芸人ばかり」と言われがちな中、日本の英雄であるだけでなく、トークもクイズも大食いもこなし、笑いも取れるのですから、オファーが殺到するのも当然でしょう。
すべては愛する柔道普及のために
これほど出演が続けば当然、「バラエティに出すぎではないか」という批判的な声が挙がってしまうのも無理はありません。しかし、ウルフ・アロン選手は、そんな声を承知の上でバラエティに出演し続けているのです。
ウルフ・アロン選手は今年いっぱいを休養期間にあてて、年明けに再始動することを明かしていました。また、何度か「その休養期間で、柔道の競技人口やファンを増やすための活動をしていきたい」「柔道のイメージを変えられたら」などの発言をしています。
つまり、「出すぎ」と言われることは想定内であり、むしろ現在は柔道の普及につながりそうな手応えを感じているころなのかもしれません。もともとクレバーなウルフ・アロン選手なら3年後に行われるパリオリンピックへの道筋を逆算した上で、「今は休養が必要」「その間に普及活動をしよう」と思っているのではないでしょうか。