菅義偉・前首相はどう動くか(時事通信フォト)
だが、その頼みの維新は菅政権とは蜜月関係だったが、岸田政権とははっきり距離を置いた。
同党副代表の吉村洋文・大阪府知事が「岸田さんのやり方で日本が成長するとは思わない。世界との競争の中では内向きの思想では衰退する」と政策面を批判すれば、馬場伸幸・幹事長は岸田首相が3A(安倍氏、麻生氏、甘利明・幹事長)に操られていることを「四人羽織内閣なのではないかと国民の目に映っている」と批判し、首相としての実力を「8番セカンド」と喝破して「エースで4番の強いリーダーシップを持った方に日本を引っ張っていただきたい」と言ってのけた。
岸田首相は相手にされていないのである。政治アナリスト・伊藤惇夫氏が語る。
「自民党で維新のカウンターパートを務めてきたのは菅義偉・前首相です。菅さんと維新の松井一郎・代表は盟友で兄弟のような関係。維新が大阪万博を招致できたのも、カジノ誘致計画にも菅さんの強いバックアップがあった。だから維新はその菅さんを切り捨てた岸田自民への敵対姿勢を鮮明にしている」
岸田首相が維新をつなぎ止めるためには、政敵である菅氏がキーマンとなる。
「自民党が大敗し、維新との連立や閣外協力などを申し込んでも、維新は菅さんの復権がないと自民とは組めないという態度を取るでしょう。岸田首相は菅さんに頭を下げない限り、維新とは話もできない」(同前)
※週刊ポスト2021年11月5日号