ライフ

医薬品発売後に新たに確認される副作用 一般への周知が限られている現実

医師も知らない「副作用」

医師も知らない「副作用」

 10月12日、医薬品類の健康被害救済や承認審査、安全対策を担う厚生労働省所管のPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)で確認された、薬の「新たな副作用」が報告された。

 そこで2013年に発売された関節リウマチの治療薬・ゼルヤンツ錠にこんな副作用が追加された。

〈心血管系事象/心筋梗塞等の心血管系事象があらわれることがある〉
〈悪性腫瘍〉

 つまり、「心筋梗塞」と「がん」である。

 PMDAの調査報告書には同薬の「直近3年度の国内症例」として、「心血管系事象関連症例」が〈22例【死亡7例】〉、「悪性腫瘍関連症例」が〈154例【死亡18例】〉とある(がん関連の因果関係は評価されていない)。

 医薬品には効果がある以上、必ず副作用を伴う。患者に副作用のリスクを上回る利益(ベネフィット)がある場合に薬は使用され、適用される疾患や用法・用量、副作用などの情報は「医薬品添付文書」に明記されている。医師や薬剤師は添付文書の内容に従って患者への処方・調剤業務を行なう。

 問題は、医薬品の発売後に新たに確認されて、「追加」される副作用だ。

 薬の発売後に患者に副作用が疑われる症例があった場合、医師や製薬会社はPMDAに報告する。PMDAは医薬品との因果関係などを精査し、調査結果を厚労省に上げる。こうした手続きを経て、同省が製薬会社に添付文書の「使用上の注意」改訂を指示すると、「新たな副作用」が記載されるという流れだ。

 PMDAの審査専門員を務めた経験のある谷本哲也医師(ナビタスクリニック川崎)が言う。

「薬は発売前に承認審査を必ず行ない、そこで治験などでの副作用情報も確認しますが、疾患によっては数十から数百人程度の情報しかない場合がある。しかし、薬には数千人以上に使って初めてわかる副作用も多くあります。また数年~数十年と長期間使用することで生じる副作用もあります。そのため、販売開始から何年も経て新しい副作用が判明するのです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン
自殺教唆の疑いで逮捕された濱田淑恵被告(62)
《信者の前で性交を見せつけ…》“自称・創造主”占い師の濱田淑恵被告(63)が男性信者2人に入水自殺を教唆、共謀した信者の裁判で明かされた「異様すぎる事件の経緯」
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
NEWSポストセブン