2018年8月、カナダ・トロントで母親と鍼灸クリニックに向かう羽生

2018年8月、カナダ・トロントで母親と鍼灸クリニックに向かう羽生

「弱かった右足首がさらに弱く」

 羽生欠場の影響は甚大だ。

「彼にとっての今シーズンの初戦で、しかも日本で開催されるNHK杯。さらには新しいショートプログラム(SP)のお披露目、羽生選手自身が明言していた4回転半ジャンプへの挑戦と、いくつもの大きな期待を集めていました。それだけに欠場にショックを受けたファンも多く、欠場発表後には公式チケットトレードサービス『チケプラトレード』に大量の売り注文が出されたほどです」(スポーツ紙関係者)

『チケプラトレード』は、「譲りたい人」と「希望する人」が定価で取引できる制度で、すでに多くのコンサートや公演で利用されている。前述のとおり、今回のNHK杯は注目を集める大会だったためチケットの競争率はかなり高かったが、羽生の欠場発表から丸1日経過した時点で、約3000枚もの取引が成立したという。

 だが、やはり心配なのは羽生のケガの状態だ。「右足関節靱帯損傷」とは、いったいどのようなものなのか。スタンフォード大学整形外科の医師・三戸一晃さんが解説する。

「足首には外側と内側に靱帯があり、それらは足首の関節を支えるとともに、足関節が必要以上に可動しないように支えています。その靱帯を傷つけてしまうのが、靱帯損傷で、足関節に腫れや痛みが出て、重度の場合は歩くことも困難になります」

 足首の外側を支えているのが外側靱帯、内側を支えているのが三角靱帯で、損傷した箇所や損傷の度合いによって、復帰の目処も変わってくるという。実は、羽生が右足首の靱帯を損傷したのは、今回が初めてではない。そのためケガが再発しやすくなっている可能性が高いと三戸さんは指摘する。

「いわゆる足首の靭帯の損傷は、関節外側副靱帯の損傷がほとんどです。足が内返しになることで生じる、とても起こりやすいケガの1つ。ギプス固定などを行って、一般的には2~3か月で大半が治癒し、さらに半年くらいかけて少しずつ治癒します。

 ただし、治癒したとしても、ケガをした組織は元のような柔軟性のある靱帯ではありません。そのため断裂しやすい、ケガを再発しやすい状態になっている。特に羽生選手のような世界のトップレベルの選手の場合、足首の関節には極めて強い負担がかかっているのでなおさらです」

 羽生の右足首の最初のケガは2017年。NHK杯の公式練習中に転倒して負傷し、「右足関節外側靱帯損傷」と診断された。当初は3~4週間ほどで元に戻るとの診断だったが、その後、腱と骨にも炎症があったため、回復には時間を要した。結局、羽生は一度も試合に出ることなく、ぶっつけ本番で平昌五輪に臨み、五輪2連覇という偉業を達成した。

 2度目のケガはその翌年、2018年のGPファイナル直前のこと。フィンランド大会を制した後、ロシア杯に臨んだが、フリー当日の公開練習で着氷に失敗して転倒。痛みに耐えながら出場して見事に優勝したが、その代償は大きかった。右足関節外側靱帯と三角靱帯損傷、右腓骨筋腱部損傷という重傷で、GPファイナルを欠場。復帰したのは4か月後の2019年3月の世界選手権となった。2018年、羽生は自身のケガについてこう述べている。

「去年のNHK杯以降、より弱かった右足首がさらにゆるくなってしまっている。ほんのちょっとの衝撃でも、すぐ捻挫になってしまうというのは、本当に悔しい」

関連キーワード

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン