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江原啓之さんが説く終活「いつ死ぬかわからないと腹を括る方が幸せに」

江原さんは、7月3日の豪雨により伊豆山で災害が起きた熱海市と沼津市に義捐金を贈呈した(写真は齋藤栄熱海市長)。

静岡県熱海市と沼津市に義捐金を贈呈した江原さん(写真は齋藤栄熱海市長)

 どんな生き方をすれば心穏やかに死ねるかを考えて暮らすことで、人生が充実する。そうやって物質、たましいの視点から生活を整理して心地よく暮らすことを江原さんは「この世じまい」と呼んでいる。一昨年、生まれ育った東京から熱海へ居を移したことも、江原さんにとっての“この世じまい”だったと振り返る。

「人間なので、生きていればどうしてもしがらみや小我に囚われてしまう。一緒にいても居心地がよくないのに誘われたら断れない、そんな友人がいませんか? 人とのコミュニケーションは大事ですよと日頃から言っていた私ですが(苦笑い)、年賀状のためにスタッフが必要になるような交友関係に、あるときから疑問を持つようになったんです。都会に住んでいるとものすごくしがらみに縛られて荷を背負っていますからね。その荷を生きながらにして下ろしてしまおうか、と。

 そこで、熱海への転居のお知らせと同時に年賀状もこれにて終わらせていただきます、私のことを忘れるかたはどうぞ忘れてください、と発信しました。この世じまいとはいわば、生前葬ですね。年賀状をやめ、おつきあいの会食などを控えてみたら、残ったのは本当に仲よくしている人の結婚式くらい(笑い)。これからは義理ではなく心から会いたい人と過ごすと考えたら、それだけでとっても解放されて、びっくりするくらい気が楽になったんです」

60才を超えたら生き方の整理を

 転居はできなくても交友関係を見直すことはできる。人との距離が保たれるコロナ禍はこの世じまいを始める絶好のチャンスだという。

「コロナが明けたから、また以前の嫌なつきあいまで元通り、というのではもったいない。この世じまいをすれば気持ちはもうあの世ですから、許せないとモヤモヤしていた日常の出来事も俯瞰して見られるようになって、妙な執着も消えます。

 本では、生まれ変わりを意味する還暦の60才を超えたら死後の世界として生き方を整理しましょうと書きました。死を意識すると優先順位が変わります。だってもし余命1年だとしたら、ご近所のゴミ問題なんてどうでもよくなるでしょう?(笑い)そんなことで悩んでいては人生の時間の無駄です。いつ死ぬかわからないと腹を括る方が毎日の取捨選択で大事なことだけを考えて幸せに生きられるようになりますよ」

 自分が幸せでなければ、人を幸せにすることはできないと江原さんは語る。10月には「熱海で新たな幸せを得た恩返しに」と、今夏に熱海市で発生した大規模土石流災害への義援金として被害があった熱海市と沼津市に計3000万円を贈呈した。沼津市には畑を持ち、「燦々ぬまづ大使」を務めるご縁がある。寄付が災害の記憶を風化させないことにつながって両市の役に立てばという思いで、チャリティー活動の利益と、熱海の敷地の一部を静岡県が買い上げることで得た補償金をすべて含めたという。

「昔は寄付のことを喜捨といいましたが、とても大事な言葉です。これも執着を断つことのひとつで、人のために何かを出すことを喜ばなくちゃと思います。

 お金は水と似ていて穏やかな小川のように流れていることが美しい。溜め込んだら澱むし、流しすぎては枯れてしまう。7対3の法則でちょっと足りないぐらいがいい循環なのです。自分の範囲で人のために何かをできれば、生き甲斐として自分の幸せにも戻ってきます」

 だが、何よりも大切なのは「人のために何ができるか」という心持ち。

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