今回の九州場所では会場定員の50%となる3700人を上限として観客を入れているが、中日でも3220人と満席にならなかった。感染対策とファンサービスの両立が難しいなかで、平日の館内はさらに空席が目立つ。ただし、土俵周りの桟敷席だけはぎっしりと客席が埋まっている。そのため、NHKの大相撲中継では館内が大入りのようにも見えるわけだが、前出・協会関係者はこう言う。
「桟敷は基本的に身元がわかっている維持員が座るということで、万が一の時には追跡できるので間を空けずに座ってもらっているようだ。ただ、実際には維持員が転売するケースや知人を招待しているケースもあり、誰が見に来ているかを完全に把握できているわけではない。(協会)執行部もその実態はわかっているはずだが、中継での盛り上がりの演出と対策の両立をどのレベルで成立させるかを考えているのだろう」
さすがに親方衆も我慢できなかったのか、協会では13日目以降、午後6時以降の力士たちの後援者との外食を緩和することになった。「泥酔しないこと」「接待を伴う店は禁止」「午後10時までに終了」などのルールも同時に発表されたが、会場を訪れる相撲ファンにとっては、本場所恒例のサービスがないことは変わらない。
秋場所後に横綱・白鵬が引退したこともあり、現役力士たちが“土俵上の見どころ”をどれだけつくれるかで、コロナ後の集客回復は左右されそうだ。