この構えから白球めがけて振り下ろす!
7回コールドで敗れた準決勝の大阪桐蔭戦では、同じく1年生ながら常勝軍団の事実上のエース格である前田悠伍のインハイのストレートを右中間に運んだ。打った瞬間はライトとセンターの間を抜けるライナー性の当たりに見えたが、打球は失速することなくフェンスを越えた。
「真っ直ぐ高めのボールでした。しっかり強くスイングすることだけを心がけました」
佐倉は来春のセンバツが懸かった秋季九州大会で、2本もの満塁弾を放っている。大舞台での勝負強さもまた、佐々木と共に怪物に必要な条件を兼ね備えていると言えるだろう。
そして、広陵の1年生・真鍋慧(けいた)もまた、“広陵のボンズ”の二つ名に相応しい一発を、ライトスタンドに叩き込んだ。スイングスピードは佐々木と同等で、インコースの速いボールを身体を回転させて捌いていくテクニックは、佐々木と佐倉を上回る印象だ。
1年生トリオはいずれも一塁手。だが、守りに不安を抱え、他のポジションが考えづらい佐々木や佐倉に対し、真鍋はアスリートタイプのスラッガーで、将来を見据えて他のポジションへの適応も今後は試されていくのではないだろうか。
一冬をこえ、この怪物たちがどんな進化を遂げて甲子園に姿を現すのか。来春のセンバツが今から待ち遠しい。