国内

温暖化がもたらす「磯焼け」問題 異常繁殖したうにの養殖で対策

ウニノミクス

ウニノミクスの蓄養は陸上で行われる(写真/大分県国東市、ウニノミクス提供)

 やっと寒い冬が来る──3年連続の「暖冬」が終わり今年は冷え込むのではないか、そんな予測が気象庁より発表されている。人類にとっては心地よい暖かさも海の生き物にとっては死活問題だ。特に近年、世界的な温暖化とゴミ問題が相まって、豊かな海産物が危機的状況に直面している。

 海の生態系の乱れは、経済にも大きな影響を及ぼす。特にいま多くの漁業関係者を悩ませているのは昆布やわかめなどの海藻が減少し、海底が砂漠化する「磯焼け」と呼ばれる現象だ。

 原因は海水温の上昇や海流の変化によって異常繁殖したうにが海藻を食べ尽くしてしまうことで起きることが多い。この状態が続けば、生態系が乱れて獲ることができる魚の量が減るうえに、磯焼けの原因となるうにを駆除するための労力と費用がかかってしまう。しかも駆除対象のうにはエサが不足して極限までやせ細り売り物にならない。

 ここに目をつけたのがベンチャー企業「ウニノミクス」だ。同社は磯焼けの原因となるうにを買い取って陸上で成長させ、おいしい食材に育て上げる取り組みを行っている。大分県をはじめ全国の磯焼けに苦しむ地域でウニノミクス事業を推進する山本雄万さんが語る。

「磯焼けの問題は以前からあり、主に補助金を頼りに全国の磯焼け地域で漁師・潜水士によるうに駆除活動が行われています。磯焼けを解消するためには、定期的なうにの駆除や間引き活動などによってうにの個体数を管理することが不可欠なのですが、磯焼け地域に生息するうには身入りが悪く売り物にならないゆえ、通常は漁獲されず、かつ充分な駆除や移植などの管理を行うには、多大な費用がかかり容易ではありません。放置されたままのうには繁殖を続け、健全な海の生態系に不可欠な藻場を食べ尽くしてしまいます」

関連記事

トピックス

米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
埼玉では歩かずに立ち止まることを義務づける条例まで施行されたエスカレーター…トラブルが起きやすい事情とは(時事通信フォト)
万博で再燃の「エスカレーター片側空け」問題から何を学ぶか
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン