2016年10月、人気アニメ『ラブライブ!』への著作権法違反容疑でゲーム店「秋葉原クレーン研究所」の家宅捜索に入る警視庁四谷署員(時事通信フォト)

2016年10月、人気アニメ『ラブライブ!』への著作権法違反容疑でゲーム店「秋葉原クレーン研究所」の家宅捜索に入る警視庁四谷署員(時事通信フォト)

結局、経営が厳しい

 もちろん日本でも店によっては好き勝手、逮捕まで至らずとも指導が入ることは少なくない。昨年末には山形県のゲームセンターが行政指導を受けた。前出の店主が続ける。

「クレーンでくじを取らせて景品と交換するやつですね、あれはだめです。グレーでもなんでもない。二次交換は完全に違法です」

 二次交換と呼ばれるくじを景品と交換する行為は、ゲームセンターのような5号営業には認められていない。4号営業(旧7号営業)のパチンコ・パチスロ店(この場合くじでなく出玉)に認められている行為だ。たとえばクレーンゲームで取った景品を店員に「他の景品に替えて」とお願いしても断られるのは二次交換、違法だからである。

「それでも違法な二次交換は無くなりませんね、一見さん相手の観光地なんかでよく見るでしょ、ゲーセンはパチンコと違うからダメなのに」

 こっそり交換してくれたなんて個別の事例はともかく、原則的にはその景品を取って終了、でなければならない。パチンコ店のような4号営業は出玉を景品(ライターの石とか貴金属など)に替えられ、さらにその景品と称する物体を別の店に持っていけば現金に替えられる(三店方式)が、あくまで4号営業かつそれぞれ別の店だから許されている。なぜ許されているかは政治の話となるが、5号営業やそれに類するゲームセンターは許されない。

「結局、経営が厳しいんですよ。コロナで潰れた店も多いですから」

 コロナ禍以前からゲーセン業界はインターネットやポータブルゲーム機、スマホゲームを始めとした消費者の嗜好と遊戯の変化に苦戦していた。そこに降って湧いたコロナという災難、ゲーセンの多くは自粛を守ったが、保証金ですべてを賄うことなど不可能だ。ゲーセンの中にはなけなしの保証金を受け取らずに営業を強行せざるを得なかった店舗もあったが、結局売り上げ不振で閉店、廃業した店も多い。正直に自粛を守ったばかりにゲーセンは追い詰められた。セガサミーホールディングスはゲームセンター事業を他社に譲渡して撤退、エターナルアミューズメントは自己破産した。各地の独立系も軒並み閉店している。

「だから違法なことをしていいとは言いませんが、背に腹は代えられないんでしょうね。クレーンゲームの高額景品などまさにそれです」

 こうした動きに対してJAIAは『アミューズメント施設における景品提供営業のガイドライン』として自主ガイドラインを定めている。会員の場合は注意し、非会員の場合は「逸脱が酷い場合は所管の警察署に相談」している。

「以前から偽物や模造品も景品に使われてますね。店が問屋に騙されたとかもありますが、偽物が欲しいとか、そうした依頼を店がしていることもあります」

 この店主の話、もう完全に犯罪だが、悲しいかな一部の悪質な店舗には偽物、もしくは模造景品が実際に横行している。

「警察から目をつけられたら引っ込めて、ほとぼり冷めたらまたやる感じです。いたちごっこですよ」

 事件化したものでは2016年、秋葉原のゲームセンターがスクールアイドル活動を描いた人気アニメ『ラブライブ!』の偽グッズを景品にして書類送検された。直近では2021年11月に愛知のゲームセンターやその運営会社が『鬼滅の刃』の類似品をクレーンゲームの景品にして混同惹起行為で書類送検された。理由は「売り上げを伸ばしたかった」とのこと。

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン