2021年7月、押収された「鬼滅の刃」キャラクター商品の類似品。愛知県警蟹江警察署(時事通信フォト)

2021年7月、押収された「鬼滅の刃」キャラクター商品の類似品。愛知県警蟹江警察署(時事通信フォト)

「そうした景品は独自のルートがあります。それを手引きするブローカーや代理店もあります」

このような偽物、模造品があるということは、それを扱う業者がいるということだ。実際、この事件では卸した3社が逮捕、もしくは書類送検されている。

「他に人気のだと『モルカー』とかね、似たような景品ありますよ。昔のジッポーっぽいライターとかと同じパロディという名目ですけどね。悪質なとこだと『ワンピース』とか『ドラゴンボール』なんかも偽物、つまり海賊版が景品にされています」

 重ねて、こんなことをしているゲームセンターやゲームコーナーはごく一部、と言いたいところだが、自社プライズが豊富で法令遵守の厳しい大手ゲーム会社のチェーン店でもない限り大なり小なり存在する。とくに地方のロードサイド店舗の独立系などは酷い。

「景品を安く済ませて利益率を上げたいのもありますが、鬼滅みたいな人気プライズは場末のゲーセンだと仕入れも大変なんです。とにかくどこも苦しい、だから違法な行為に手を染める」

 これについてもJAIAでは、著作権に特化して定めた『AMプライズマーク』を景品に貼付しているので確認してほしいとのこと。このプライズマークのない景品は適正でない可能性があるという。

クレーンゲームに若い転売ヤーが群がる

 いまやゲームセンターは存亡の危機。その家賃や電気代、人件費を鑑みれば明らかに限界である。実際、各店舗スタッフから聞かれるのは厳しい声ばかりだ。先の店主の話をさらに掘り下げるため、筆者は都内のゲームセンターに勤める知人に改めて話を聞いた。

「クレーンゲームね、グレーな設定が横行しているのは事実です。表に出てないだけでプライズ関連は言えないことばかりです。店によっては限りなく取れない鬼設定にしています。独立系なんて、いつ警察から警告が来てもおかしくない店もあります」

 JAIAも指導はしているが非加盟の店舗に対して強制力はないし警察も立証が難しい。大金はたいて取れなくても実力と言われればそれまでだ。

「客層も変わりました。一般客とは呼べないようなあやしい連中もいます」

 昔のクレーンゲームといえば一時の楽しみに興じる家族連れやカップル、酔客などが中心だったが、近年は新たな客が増えたという。

「転売ヤーですね。油断するとごっそり持ってかれます。うちだと若者の集団です。フリマアプリで売って小遣い稼ぎしてるのでしょう。鬼滅がとくに狙われますが、マニアが好む人気フィギュアも狙われますね。相場をきっちり調べてるみたいです」

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