ライフ

浴室死はこの10年間で1.5倍に 高齢者が気をつけるべき2大要因

寒い時期は特に気を付けたい(イメージ)

寒い時期は特に気を付けたい(イメージ)

 寒い冬場の入浴は至福のひとときだが、一歩間違えれば見るに堪えない死に方を迎える「地獄湯」になる。多発する浴室死の実例に迫った。

「2年前の12月のことでした。アパートの住民たちから『2階の部屋から異臭がする』と通報がありました。その部屋は一人暮らしの高齢男性の部屋だったのですが、部屋を開けると、今までに嗅いだことがない強烈な腐敗臭が漏れてきました。息を止めて鼻と口を押さえながら部屋を回り、風呂場を覗くと……」

 そう語るのは、都内のアパートで大家をしている75歳の男性・Aさんだ。視線の先には、見るも無惨な遺体があった。

「黒ずんだ液体の中にある遺体は、風船のように膨らんでいました。見るに堪えず、すぐに部屋から出て警察に連絡し遺体を処分してもらいましたが、現場の状況が脳裏に焼き付いて、しばらく眠れませんでした」(Aさん)

 こうした入浴中の死亡事故は、決して他人ごとではない。

 厚労省人口動態調査(2021年)によると、2019年の浴槽内での溺死者は約4900人。約10年間で1.5倍ほどに増加しているという。また、主に11~4月の冬季にこうした事故が多発しているとも指摘されている。

 2020年2月には、元プロ野球選手の野村克也さん(享年84)も東京・世田谷の自宅浴室で倒れ、そのまま亡くなった(死因は虚血性心不全)。

 入浴中の死亡事故の多くは、「ヒートショック」と「熱中症」によるものとされる。入浴と健康の関係を研究する東京都市大学人間科学部教授で医師の早坂信哉氏が語る。

「脱衣所と浴槽の急な温度差により血圧が急激に上下することで、血管に過大な負荷がかかることをヒートショックと言います。寒い脱衣所で裸になると血圧は30~40ほど一気に上がり、それから熱い湯船に急に浸かると10ほど上がる。すると血管に圧力がかかるため、脳内の血管が切れて脳出血を起こしたり、血管が詰まって心筋梗塞を起こすなどして、最悪の場合は死に至ります」

 ヒートショックが起きるのは浴槽に浸かった時だけではない。

「危険なのは浴槽から立ち上がる時です。入浴の際に急上昇した血圧は血管が広がるとともに徐々に下がって正常化しますが、浴槽から立ち上がる時は血圧が急激に下がる。一時的に頭に血液が回らなくなるため立ちくらみが起きて意識を失うことがあり、それが溺死を招くのです」(早坂氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

無期限の活動休止を発表した国分太一(50)。地元でもショックの声が──
《地元にも波紋》「デビュー前はそこの公園で不良仲間とよくだべってたよ」国分太一の知られざる “ヤンチャなTOKIO前夜” 同級生も落胆「アイツだけは不祥事起こさないと…」 【無期限活動停止を発表】
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン
草野刑事を演じた倉田保昭と響刑事役の藤田三保子が当時を振り返る(撮影/横田紋子)
放送50年『Gメン\\\\\\\'75』 「草野刑事」倉田保昭×「響刑事」藤田三保子が特別対談 「俺が来たからもう大丈夫だ」丹波哲郎が演じたビッグな男・黒木警視の安心感
週刊ポスト
月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』主演の中井貴一と小泉今日子
今春最大の話題作『最後から二番目の恋』最終話で見届けたい3つの着地点 “続・続・続編”の可能性は? 
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《あだ名はジャニーズの風紀委員》無期限活動休止・国分太一の“イジリ系素顔”「しっかりしている分、怒ると“ネチネチ系”で…」 “セクハラに該当”との情報も
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一
《どうなる“新宿DASH”》「春先から見かけない」「撮影の頻度が激減して…」国分太一の名物コーナーのロケ現場に起きていた“異変”【鉄腕DASHを降板】
NEWSポストセブン
日本のエースとして君臨した“マエケン”こと前田健太投手(本人のインスタグラムより)
《途絶えたSNS更新》前田健太投手、元女子アナ妻が緊急渡米の目的「カラオケやラーメン…日本での生活を満喫」から一転 32枚の大量写真に込められた意味
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
中世史研究者の本郷恵子氏(本人提供)
【「愛子天皇」の誕生を願う有識者が提言】中世史研究者・本郷恵子氏「旧皇族男子の養子案は女性皇族の“使い捨て”につながる」
週刊ポスト
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン