ビジネス

ロケット射場「北海道スペースポート」 日本を代表する宇宙港への意気込み

周囲を海と湿地に囲まれたロケット発射場「北海道スペースポート」(写真提供/インターステラテクノロジズ)

周囲を海と湿地に囲まれた大樹町のロケット発射場「北海道スペースポート」(写真提供/インターステラテクノロジズ)

 とかち帯広空港から車で40分。東に太平洋が広がる大樹町の原野に、「北海道スペースポート」というロケットの射場がある。小型輸送ロケットの開発・実証を続けるインターステラテクノロジズの社長・稲川貴大氏は、将来、この地域が日本を代表する「宇宙港」として栄える未来を見ている。

 2013年、実業家の堀江貴文氏の出資を受けてロケットの開発を始めた同社は、小型ロケット「MOMO」の開発で知られるベンチャー企業だ。コンセプトは小型で安価な輸送ロケット。2019年には地上100kmに観測ロケットを送ることに成功し、彼らは日本の民間単独ロケットとして初めて宇宙空間に到達した宇宙ベンチャーとなった。今年7月にも「ねじのロケット(MOMO7号機)」と「TENGAロケット(MOMO6号機)」の2機連続打ち上げに成功している。

 同社の特色は様々な技術を自社開発する独立系ベンチャーであることだ。MOMOはロケットの中では最小のものだが、それでもエンジンには「小型の火力発電所と同等」の出力が必要だという。そこに複雑な制御技術を組み合わせ、コストの安さと安全性をどのように両立させるか。開発は試行錯誤の連続だった、と稲川氏は振り返る。

「とにかくモノを作っては試してみる。ある程度の失敗を許容しながら、開発のサイクルをいかに早めるかがポイントでした」

 現在、彼らが同様に急ピッチで開発を進めているのが、地球の周回軌道に小型人工衛星を送ることができるロケット「ZERO」だ。

「いまは日本でのロケットの打ち上げはせいぜい年間に3~5回。これでは企業が衛星を打ち上げたり、宇宙で何らかの実証実験を行ないたくても、機会が少なすぎます。民間による新しい技術の発展を妨げていると言えるでしょう」

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン