英ロンドンの「コヴェント・ガーデン」に多くの人が集まる。そのほとんどがマスクをしていない(写真/アフロ)

英ロンドンの「コヴェント・ガーデン」に多くの人が集まる。そのほとんどがマスクをしていない(写真/アフロ)

 なぜオミクロン株の出現が「喜ばしいこと」で「本当によいニュース」になるのか。それを知るには、一般的な感染症のウイルスの変異の過程を理解する必要がある。

「そもそも変異は、ウイルスがヒトの細胞内で増殖する際に、遺伝子がコピーミスを起こすことで生じます。

 そのコピーミスのなかでも、空中でより長く感染力が保てるもの、感染者がより多くのウイルスを呼吸や咳を通じて放出するように体内のウイルス量を増やせるもの、別のヒトに伝播する際に変化を起こしやすいものなど、ウイルスが生き残るのに有利なものが勝ち残り、広がっていく傾向があります。

 感染者がどんどん増えていき、ウイルスがヒトの細胞内で増殖を繰り返しやすい状況では、そうしたコピーミスが発生しやすくなり、より感染力の強いウイルスが変異株として出てきやすい。そうして弱いウイルスが淘汰されていきます」(一石さん)

 現在、南アフリカで起きているのがまさにそうした変異と考えられている。

 南アフリカ国立感染症研究所によると、10月にはデルタ株が感染した人の92%を占めていたが、11月には74%がオミクロン株に置き換わった。

 ここで重要なのは、「ウイルスが際限なく、毒性が強力なものに変異し続けることは考えにくい」ということだ。

「ウイルスの毒性が強くなりすぎて“宿主”であるヒトが死んでしまうと新たな感染先が見つからず、ウイルス自体が生き残れなくなり、本末転倒です。また、毒性が強くなるとワクチンや治療薬がすぐつくられるので、ウイルスの生き残り戦略として不利になる面もあります。

 つまり、ウイルスが最も生き残りやすいのは、毒性が強くなりすぎず、感染しても人類があまり気にしないレベルです。新型コロナも、最終的には普通の風邪ウイルスのように、ヒトと共生していくようになるのではないでしょうか」(二木さん)

 ウイルスとヒトの共生を示す兆候が、「感染力は強いがヒトは殺さない」とされるオミクロン株の出現だ。

 感染症と人類の歴史を振り返ると、19~20世紀に猛威を振るった「ロシアかぜ」や「スペインかぜ」は変異の果てに、ただの風邪やインフルエンザになって、人類と共生するようになった。

 2020年来、世界中を大混乱に陥れた新型コロナも、オミクロン株の登場によって、ただの風邪になっていく可能性が高い。ゆえにオミクロン株の登場は「朗報」と指摘する専門家が多いのだ。

※女性セブン2022年1月1日号

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