芸能

幻の『日本沈没1999』映画化構想 大森一樹氏の脚本が予測していた未来

『日本沈没1999』の記者会見をする小松左京氏(右)と監督・大森一樹氏

『日本沈没1999』の記者会見をする小松左京氏(右)と監督・大森一樹氏

 ドラマ『日本沈没 ―希望のひと―』(TBS系、以下『希望のひと』)は、ほぼ全話で視聴率15%を超える好調ぶりを維持したまま最終回を迎えた。

 たびたび映像化されている『日本沈没』には、阪神・淡路大震災直後の“幻の映画化企画”が存在した。当時のシナリオを紐解くと、今回のドラマ版とは異なるリアルが描かれていた――。(前後編の前編)

 * * *
 作家・小松左京氏の原作小説が刊行され、最初の映画版(監督・森谷司郎)が880万人の観客を動員したのが1973年。以降、人々は巨大地震に遭遇するたびに『日本沈没』を想起することになる。

 その一つが、1995年1月17日、兵庫県南部を襲った阪神・淡路大震災である。大阪府箕面市の小松邸では次々と電話が鳴り、新聞記者は揃って「まるで『日本沈没』のようだ」とコメントを求めたという。

 そう感じたのは記者だけではなかった。震災の直後から、東宝が『新日本沈没』、松竹が『日本沈没1999』(以下『1999』)の映画化企画を水面下で進めていた。

「松竹から声がかかったのは1998年の夏頃だったと記憶しています。今読み返しても、自分で『よくできた脚本だなぁ』と思いますよ」

 そう振り返るのは『1999』の監督・脚本に抜擢され、自身も兵庫・芦屋の自宅で被災した映画監督の大森一樹氏だ。

 1998年8月30日、東京・銀座東急ホテルで『1999』の記者会見が開かれた。壇上には小松左京氏、大森氏らが上がり、松竹は製作に12億円を投じると大々的に発表した。

 結論を述べれば、莫大な費用が捻出できず、企画はお蔵入りとなってしまうが、当時まだワープロを持っていなかった大森氏が、手書きで書き上げた脚本の第1稿が残っている。それをもとに脚本の骨格を追っていく。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン