田所博士はビートたけし!? 東宝版『新日本沈没』の中身
1995年8月24日、東宝による『新日本沈没』の初めての打ち合わせが行なわれ、小松左京氏と東宝のプロデューサー、故・橋本幸治氏(『さよならジュピター』監督)と北山裕章氏、脚本家の藤田伸三氏と米村正二氏が一堂に会した。
同年10月9日付で書かれたA4用紙13枚からなる企画書が残っている。田所博士には〈柄本明、ビートたけし、武田鉄矢〉などのイメージキャストが挙げられたほか、ストーリー案として原発と放射能汚染、そして沈没後にシベリアを漂流する日本人といった記述が見て取れる。
阪神・淡路大震災からわずか9か月後のこと。1998年に松竹版の記者会見が開かれると、東宝版も立ち消えとなった。
(後編〈『日本沈没』幻の映画化構想で描かれていた「東洋のチェルノブイリ」の危機〉へ続く)
※週刊ポスト2021年12月24日号