芸能

「文書交通費」見送り モラルの欠けた議員らの”上流階級バイアス”

(写真/JMPA)

文書交通費の法改正は今国会で見送りに(写真/JMPA)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、改正が見送られた「文書通信交通滞在費」について。

 * * *
 給与やボーナスとは別に国会議員に毎月支払われる100万円の文書通信交通滞在費の見直しが12月20日、見送りになった。衆院選当選後、たった1日の在職で新人議員にも満額が支給されて問題となった、あの文書交通費だ。初当選した日本維新の会の小野泰輔議員が、「国会の常識、世間の非常識」というタイトルで自身のSNSに投稿したことで、批判が殺到したのだ。

 その後議員たちは、「我が身に火の粉がかかっては大変だ」とばかりに次々と見直しを表明。全員が本音でそう思っていたかは謎だ。何せ小野議員以外は口をつぐみ、それを当然のこととして捉えていたのだから。特に議員という立場の人たちは、本音より建前、いい人と思われたいという「世間体バイアス」が他の人より強いだろう。「ここは社会的に期待される言動をした方が得策」と考えた議員もいたはずだ。

 2009年の衆院選後にも同様のことが起こった。議員経験の長い者なら、当時の記憶が蘇ったのかもしれない。当選わずか2日の新人議員に、給与と文書交通費のダブルが支給された。非難の嵐の末、この時はさすがに見直しが行われ、給与分は日割りとする法案が成立したが、文書交通費については見送られてしまったのだ。そのうちメディアで報じられることも、世間の話題にのぼることもなくなり、いつの間にか忘れられた。あれから10年以上が経った。

 ふたたび問題が再燃したが、自民党は文書交通費を日割りで支給する法改正を行った上で、領収書や使い道の報告については引き続き検討する案を示した。前回のやり方が成功体験になったのか、これが与党のやり方なのか、今回も自分たちの首を絞めるようなことはしたくないのだろう。文書交通費は議員にとって、領収書不要、使い道も自由という使い勝手のよい“第2の給与”と言われる。いや、支給されても税金がかからないのだから、給与よりお得だろう。

関連記事

トピックス

麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
松本智津夫・元死刑囚(時事通信フォト)
【オウム後継「アレフ」全国に30の拠点が…】松本智津夫・元死刑囚「二男音声」で話題 公安が警戒する「オウム真理教の施設」 関東だけで10以上が存在
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
8月に離婚を発表した加藤ローサとサッカー元日本代表の松井大輔さん
《“夫がアスリート”夫婦の明暗》日に日に高まる離婚発表・加藤ローサへの支持 “田中将大&里田まい”“長友佑都&平愛梨”など安泰組の秘訣は「妻の明るさ」 
女性セブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン