52歳の新人調教師として再スタートする蛯名正義氏
凱旋門賞の前に重賞を3回使って2勝2着1回。僕はレースばかりか、調教だけのためにフランスに行って、週末に帰ってきて日本の競馬に乗ったりしました。2泊4日なんてこともありましたが、若かったんでしょうね(笑)、体力的にはまったく平気でした。ワクワクドキドキとかいうのはなくて、日本とフランスを何度も行き来して、すっげージョッキーになったなあってなんだか他人事みたいでした(笑)。凱旋門賞では残念な2着でしたが、とにかく濃密な1年でしたね。
その後2000年は5か月間アメリカの東海岸に腰を落ち着けて、新人のつもりで競馬に取り組みましたし、マンハッタンカフェ(2002年)やナカヤマフェスタ(2010、2011年)で凱旋門賞にも出走することができました。2010年の凱旋門賞では、武豊騎手もヴィクトワールピサで参戦。世界最高峰と言われるレースに競馬学校の同期生が揃って騎乗。勝つことはできませんでしたが、とにかくいい経験をさせていただきました。
ただ、近年多くの日本馬が出かけて行くドバイは依頼がなかった(笑)。現地での調整が難しいと聞きますが、調教師になってからはぜひ行きたいですね。
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。今年2月で騎手を引退、来年3月に52歳の新人調教師として再スタートする予定。
※週刊ポスト2022年1月14・21日号