豚の内臓が飛び交った台湾議会の様子(写真/Getty Images)

豚の内臓が飛び交った台湾議会の様子(写真/Getty Images)

 そんなラクトパミンについて米ボストン在住の内科医・大西睦子さんが解説する。

「家畜はエサを食べて、栄養とエネルギーに分配するわけですが、その場所と割合を変える飼料添加物がラクトパミン。筋肉細胞に蓄積されるたんぱく質の量を増やし、脂肪を除去する速度を高めます。その結果、体の大部分が赤身のたんぱく質になる。数週間使用すると、この効果はピークに達して効きにくくなるため、販売直前の時期に与えられます」

 つまり、食卓に届く食肉に残留しやすい可能性があるのだろう。「もう年だからお肉の脂身が苦手なのよ」「私は赤身のお肉が好きだわ」そんな会話をしたことのあるかたは要注意だ。

 続いては、成長促進剤漬けになった豚自身に起こる異変から、輸入豚肉のリスクを考えていこう。

ダウナーの豚という恐怖

 動物の自然な生態に逆らい、赤身を増やす薬を投与すると、豚自身にも負担がかかる。その結果、歩けない豚、倒れてしまう豚が増えているという。

「ラクトパミンはもともと、人間の喘息の治療のために開発された『β-アゴニスト』という種類の薬でした。成長率を高めることがわかって動物用に使われるようになりました。米食品医薬品局(FDA)はラクトパミンが約25万件の豚の有害事象と関係したと報告しており、これはほかのどの動物用医薬品よりも多い数。投与された豚は歩けなくなったり、立てなくなったり、震え出したり、多くの病気に見舞われたとの報告があります」(大西さん)

 ラクトパミンにより豚が倒れる「ダウナー」と呼ばれる状態のまま屠畜場に引きずり込まれ、食肉加工されることもあるという。

 安全性の懸念から、EUの全加盟国だけでなくロシア、中国を含む約160か国が豚に対するラクトパミン使用を禁止または制限している。とはいえラクトパミンについては国際食品規格の策定等を行う「国際コーデックス委員会」による基準値が定められており、それ以下の残留は問題ないとされている。日本に堂々と入ってきているのは、この基準の“お墨付き”があるからだ。

「たしかにコーデックス委員会で定められているのですが、この委員会での決定は科学的根拠ではなく、投票による多数決なんです。薬剤を使用したいアメリカの製薬会社がロビー活動をし、委員を買収するなど活発に動いた結果ともいわれています。この基準はアメリカの意向で定められたと言っても過言ではない」(鈴木さん)

※女性セブン2022年1月20・27日号

関連記事

トピックス

羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
シリアスな役あkら、激しいアクションまで幅広くこなす北村
北村匠海、朝ドラ『あんぱん』で“やなせたかしさん役”として出演か 主演の今田美桜とは映画『東リベ』で共演し強い絆
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
「礼を尽くさないと」いなば食品の社長は入社辞退者に“謝罪行脚”、担当者が明かした「怪文書リリース」が生まれた背景
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
いなば食品、入社辞退者が憤る内定後の『一般職採用です』告知「ボロ家」よりも許せなかったこと「待遇わからず」「想定していた働き方と全然違う」
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン