インドネシアのコンビニ店員。胸には顔写真入りの名札(イメージ、AA/時事通信フォト)
昔は本名だったけど、いまは色々あるから
筆者は日を変えて都内下町のコンビニ、旧知のオーナー店長に話を聞く。
「名前か、うちは好きな名前でいいってことにしてるよ。昔は本名だったけど、いまは色々あるからね」
もちろんコンビニチェーンや直営、フランチャイズなどで対応は変わるのだろうが、ここでは名前を好きに決めていいという。
「よっぽど変な名前じゃなきゃいいよ。『たなか』とか『やまだ』とか、好きなの選んでかまわない。本名でも止めはしないけど、変わった名前だと憶えられちゃうし、言っちゃなんだがコンビニのバイトでそこまで個人を晒す必要ないでしょう」
相変わらずぶっきらぼうだが優しいオーナー店長、日本で一番多い名字とするなら「さとう」だろうか。それならいっそ、名札なんかなくしてしまえばいいのでは。
「いや、名札がないとうるさいのがいるんだよ、『誰なんだあいつは』なんて文句を言ってくる。だからとりあえずつける感じだね」
今度は都内有数の歓楽街のコンビニ、こちらは外国人の店員も多い。見ればこちらは写真入りだ。日本人スタッフに話を伺う。
「うちは決められてます。(バイトに)入りたてはとりあえずの名札ですが、あとで本部からバーコード入りの写真と名前の入った名札が届きます」
決められているなら仕方のない話だが、場所柄もあるし嫌がるスタッフもいそうだ。
「そういう人はうちでバイトしようと思わないでしょう。店のスタッフを実際に見て、写真と実名の名札だってわかりますから」
そうした名札の店であることはスタッフを見ればわかる話で、この店では本名の名札をつける、つけないで問題になったことはないそうだ。
「ただ絡まれることは実際ありますね。気に入らないとか」
聞けば「名前憶えたからな」と言われることもあるとのことで、店先で待ち伏せでもされたら堪らない。
「あと、別の意味で絡まれることもありますね。気に入ったとか」
その逆もしかりで、とくに女性スタッフは「○○ちゃん付き合って」などの軽口はもちろん、これまた別の意味での待ち伏せもされたという。