西山

「1位になれたことが誇らしかった」と語った西山浩司

 長江の願いがかなったのはその翌週の10月1日放送回。松田聖子ファンの長江が聖子の横で歌を熱唱し、聖子と2ショットに収まり、その写真をプリントした下敷きが作られた。翌々週(10月8日放送回)には「聖子ちゃんと○○したい」という3択問題から長江が「料理」を選び、1曲歌う間にオムレツを聖子が調理し、3人にごちそうしている。

 いずれも斬新な演出にこだわった『ザ・ベストテン』らしい遊び心が感じられた。芸能ジャーナリストの渡邉裕二さんが言う。

「番組開始当初16%そこそこだった視聴率が急上昇するきっかけとなったのは、1978年11月に『季節の中で』でテレビ初出演した松山千春(66才)です。あのとき、彼が長くしゃべったせいで、後に控えていた山口百恵が歌えなくなりましたが、ぶっつけ本番、何が起こるかわからない面白さが視聴率を跳ね上げたのです」

 スポンサーに阿ったタイアップ風の番組や自局の番組宣伝に絡んだゲストばかり出てくる番組はもう見たくない。『ザ・ベストテン』のような放送を視聴者は望んでいる。

イモ欽トリオの3人が見た『ザ・ベストテン』

 神回で1位に輝いたイモ欽トリオの3人に、『ザ・ベストテン』への思い出を振り返ってもらった。

●山口良一
「当時は、小劇場の下っ端劇団員だったので、歌番組自体がもう場違いな感じでしたね。ほかにも歌番組はありましたけど、『ザ・ベストテン』は重厚というか、格式を感じました。そんな番組で、ぼくたちは8週連続1位。出るのは当然いちばん最後で、出て歌ったら終わり。そもそも素人でしたから、スターをもっと間近で見たかった。そこがちょっと残念でした(笑い)」

◇1979年、劇団東京ヴォードヴィルショー入団。『欽ドン!』のヨシオ役でブレーク。現在は舞台を中心に、『噂の!東京マガジン』(TBS系)などにも出演。

●西山浩司
「ぼくは当時20才。ほかの2人と違って、13才の頃から『スター誕生!』に出演してアイドルをいっぱい見てきました。だから、スターに会えてうれしいという気持ちはなく、1位になれたことが誇らしかった。番組の魅力は、ただ歌うのではなく、1曲ごとにセットや演出が工夫されていたこと。そこに久米さんと黒柳さんのトークがマッチして、生のスピード感がありました」

◇『スター誕生!』(日本テレビ系)に出演後、萩本欽一に弟子入り。『欽ドン!』ではワルオ役を担当。現在は芸能活動の傍ら、「小料理Bar皆月」を経営。

●長江健次
「ぼくは当時高校2年生。番組には松田聖子ちゃんや田原俊彦さんなど大スターが出ていて、変な話、ポッと出の歌手はぼくたちくらい(笑い)。それでも、最高視聴率の回で1位になれて。普通だったら、かかわりたくてもかかわれない人がほとんどなのに、たまたまぼくたちが歌わせてもらっただけなのに。そういう意味ではすごいことをしたんだなと、いまでも思います」

◇『欽ドン!』のフツオ役でデビュー。現在は音楽活動やラジオを中心に活躍。イモ欽トリオも出演するライブ『長江健次café vol.9』を、兵庫と東京で1月15〜23日開催。

取材・文/北武司

※女性セブン2022年1月20・27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン