国際情報

米国に亡命の天安門事件リーダー王丹氏の母が死去 帰国かなわず

王丹氏ら民主化運動活動家らは当局によって帰国を果たせなかったという

王丹氏ら民主化運動活動家らは当局によって帰国を果たせなかったという

 1989年に中国で起きた天安門事件の学生リーダーで米国に亡命した王丹氏(52)の母、 王凌雲さんが昨年12月28日に脳出血のため病院で死去したと、王丹氏がツイッターで明らかにした。中国内では、王丹氏ら民主化運動活動家らが当局によって帰国を果たせず、親の死に目に会えないことについて、「人道的な観点から、中国政府は元活動家の入国禁止措置を緩和すべきだ」などの声が上がっている。また、亡命先の海外在住の元活動家らからも「恩赦」を求める声が出ている。

 王丹氏は自身のフェイスブックで「この世で最も私を愛してくれた人、母の王凌雲は、突然の脳出血に襲われ、蘇生を試みたが、2021年12月28日に病院で亡くなった。彼女は86歳だった」と書き込んだ。

 王氏は母親について、「彼女は北京大学の歴史学科を卒業後、国立博物館で歴史学者として幸せな人生を歩んできた。1989年6月の事件の後、指名手配された私が子どもでなければ、彼女の人生はとても平和だったでしょう。王凌雲は当局が捜索する間、何日も拘束され、拘束中に足に怪我を負い、足を引きずるようになったそうです」とも書いている。

 さらに、王氏は「私は全世界で最も不義理な息子だ。母にこんな重荷を負わせるなんて。母の晩年の最大の願いは、私が北京に戻って一緒にいられるようになることでしたが、結局、母は私を待つことができなかったのです」と結んでいる。

 米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」によると、天安門事件で亡くなった学生らの肉親が運営する「天安門の母」被害者団体のスポークスマンである優維傑氏は、王丹氏の訴えを受けて、中国政府に対し、「1989年の亡命者に対する渡航禁止を緩和し、親などと面会できるよう帰国を許可しなければならない」などとの声明を発表した。

 1989年の学生指導者の仲間で、米国在住の熊炎氏は、「私も母親が亡くなったとき、同じような経験をした」とRFAに語った。

 熊氏も事件後、米国に亡命し、米国で起業し成功しているが「中国の湖南省にいる母親に会いに行くために、中国共産党の習近平指導部と李克強首相に公開書簡を書くなど、何年もかけて中国入国ビザをとろうとしたが、中国当局は理由も言わず、なしのつぶてで、結局、母に会うことはできなかった。彼らは我々の帰国を認めるべきだ」と語っている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト