スポーツ

五輪3連覇狙う羽生結弦、孤高の戦いへ オーサーコーチは北京に帯同せず

4回転半ジャンプに挑むと明言(写真/アフロ)

4回転半ジャンプに挑むと明言(写真/アフロ)

 前人未到の大技に、彼はたったひとりで挑むつもりなのかもしれない。1月20日、日本オリンピック委員会が北京五輪に派遣する選手団リストを発表した。フィギュアスケートでは選手10名に対し、コーチやトレーナーなど13名が同行(1月25日現在)。宇野昌磨(24才)を指導するステファン・ランビエールコーチや、鍵山優真(18才)の指導を行う父親の鍵山正和コーチらの名前も並んでいる。

 しかし、羽生結弦(27才)が所属するカナダの「クリケットクラブ」のブライアン・オーサーコーチやジスラン・ブリアンコーチの名前が記載されていないのだ。羽生のファンの間では94年ぶりの3連覇という偉業がかかった大舞台に、コーチ不在で挑むことへの不安の声が広がっている。

 前人未到の4回転半へのこだわりを見せる羽生だが、彼ほどのレベルになると、コーチの不在も影響がないのだろうか。元フィギュアスケーターの渡部絵美さんはこう語る。

「フィギュア選手にとってコーチの存在は結果を大きく左右するほど重要です。トップ選手ともなれば、技術面ではある程度客観的に自分の状態を判断することができる。しかし、メンタル面ではコーチの支えが必要不可欠です。特に4年に1回の五輪は、プレッシャーの大きさがほかの大会とはまったく違います」

 それでも羽生ならやり遂げてしまいそうだが、フィギュアスケート関係者はこう話す。

「平昌五輪の際は、最初に発表されていたリストにコーチの名前はなく、羽生選手の整体師の名前だけが記されていたのですが、その後、追加発表があり、ジスランコーチの帯同が決定。さらに韓国選手団に加わっていたオーサーコーチも現地で羽生選手の演技を見守った結果、金メダルを獲得しました。今回も最終的に現地でコーチと合流する可能性もゼロではないと思います」

 ただ、状況は4年前と大きく違う。

「すでにバブル内でも新型コロナの感染者が相次いでいます。感染対策のために他国の選手団との接触を避けることで、自国のコーチとして帯同するのとは違い、必要なときに充分なサポートが受けられない可能性もあるでしょう」(五輪の運営関係者)

 ライバルたちも悲願の金へ準備を重ねている。世界選手権を3連覇しているアメリカのネイサン・チェン(22才)は、1月初旬の全米選手権のショートプログラムで歴代大会最高得点の115.39点を叩き出して優勝。全日本選手権2位の宇野も、4種類5本の4回転ジャンプを組み込んだ高難度のプログラムで挑むという。

「ジャンプ一本の完成度が勝敗を分ける、誰が勝つかわからない状況です。羽生選手が4回転半にこだわり続けてきたのは、北京五輪が最高レベルでの技の競い合いになることを予測していたからかもしれません」(前出・フィギュアスケート関係者)

 世界中が彼の孤高の戦いに注目している。

※女性セブン2022年2月10日号

キス・アンド・クライでは抱き合って喜ぶことも。左はオーサーコーチ(写真/GettyImages)

キス・アンド・クライでは抱き合って喜ぶことも。左はオーサーコーチ(写真/GettyImages)

世界選手権3連覇中のネイサン(時事通信フォト)

世界選手権3連覇中のネイサン(時事通信フォト)

2018年平昌五輪銀メダルの宇野も金メダルを狙う(写真/アフロ)

2018年平昌五輪銀メダルの宇野も金メダルを狙う(写真/アフロ)

関連キーワード

関連記事

トピックス

「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年12月3日、撮影/JMPA)
《曾祖父母へご報告》グレーのロングドレスで参拝された愛子さま クローバーリーフカラー&Aラインシルエットのジャケットでフェミニンさも
NEWSポストセブン
指示役として逮捕された村上迦楼羅容疑者
「腹を蹴れ」「指を折れ」闇バイト主犯格逮捕で明るみに…首都圏18連続強盗事件の“恐怖の犯行実態”〈一回で儲かる仕事 あります〉TikTokフォロワー5万人の“20代主犯格”も
NEWSポストセブン
3年ぶりに『紅白』に出場するKing & Prince
《ボーイズグループ群雄割拠時代が到来》キーワードは「オーディション」と「自由」 メンバー個人での活躍の場も拡大、“脱退組”にも注目
女性セブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《スクープ》“連立のキーマン”維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官が「秘書給与ピンハネ」で税金800万円還流疑惑、元秘書が証言
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン
大分県選出衆院議員・岩屋毅前外相(68)
《土葬墓地建設問題》「外国人の排斥運動ではない」前外相・岩屋毅氏が明かす”政府への要望書”が出された背景、地元では「共生していかねば」vs.「土葬はとにかく嫌」で論争
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
清水運転員(21)
「女性特有のギクシャクがない」「肌が綺麗になった」“男社会”に飛び込んだ21歳女性ドライバーが語る大型トラックが「最高の職場」な理由
NEWSポストセブン
高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン