【傘】
安価で使い捨てのイメージがあるビニール傘だが、美智子さまは、雨天時のご公務の際は、集まった人々のために、“お顔の見える傘”として、あえて透明なビニール傘をお選びになっているという。製造しているのは、日本で唯一ビニール傘を国内生産する、江戸時代から続く下町の小さな傘店、ホワイトローズだ。代表取締役社長の須藤宰さんはこう話す。
「2010年の全国植樹祭で私どものビニール傘を使用されて、もう少し軽くて深めの自分用の傘を作ってほしいと注文を受けました。美智子さまはどんなときも凜と前を向いていらっしゃる。正面から風が吹いてもあおられないよう、あえてビニールに穴を開けて風を逃すなど、しなやかだけれど丈夫で強い、気品のある傘を開発しました」
■ホワイトローズ
住所:東京都台東区寿2-8-15
一般的な傘は婦人用でも60cmあるのに比べて、美智子さまが愛用されているのは48cmという小さくて華奢なもの。美智子さまの傘を修理した前原光榮商店の代表・前原慎史さんが振り返る。
「ご成婚前に、もともとお持ちの傘を修理したいとお持ちいただいたのが最初でした。ハンドルに巻かれた革や骨組み、生地は経年劣化していたので新しいものに変えましたが、ハンドルの芯の部分は独身時代のものが使われています。大切にモノをお使いになられる、本物の品性はそんなところに宿られる気がします」
■前原光榮商店
住所:東京都台東区三筋2-14-5