日々進化するスポーツ界。プロ野球選手たちは最新の理論に基づいた「特殊用具」を使って鍛錬を積んでいる。そのうちのひとつを紹介しよう。
上半身裸になり、体に取り付けるのは“大リーグ養成ギプス”ではなく、48個あるモーションキャプチャのマーカーだ。
米・シアトルにあるトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」では、最新の機器を用いて選手の動作を解析し、選手に合わせた動作修正をすることで知られる。MLBで5年連続2桁勝利を飾り、2020年にナ・リーグ最優秀防御率のタイトルを獲得したトレバー・バウアーが2013年から通うほか、2020年オフにはエンゼルスの大谷翔平も利用したという。
「J SPORTS」解説者でスポーツジャーナリストの出村義和氏が語る。
「同社の創設者カイル・ボディがレッズのマイナーリーグの投手育成コーチに就任し、プロ経験のないスタッフがヤンキース、ドジャース、フィリーズなどにコーチなどで雇われています。MLBの新しい潮流だと言えます」
近年では、日本球界でもオフシーズンに自費で同施設からスタッフを招き、データ解析を依頼するプロ野球選手も増えている。2019年にはソフトバンクがチームとして秋季キャンプに招集した。
阪神の藤浪晋太郎、中日の藤嶋健人らが沖縄で指導を受けたときも話題になった。メジャー流野球科学が、日本球界にもスター選手を生み出すか。
※週刊ポスト2022年3月4日号