52歳の新人調教師として再スタートする蛯名正義氏
調教師を目指してからのお付き合いはとくに濃密でした。僕自身は新たな気持ちで勉強したいと思いましたが、教える側に気を使わせてしまうのではないかと思っていました。自分でいうのは何ですが、騎手として実績をあげていたし、年齢も50近くになっているので扱いにくいでしょう(笑)。そんな時藤沢先生が「うちに勉強に来たらいいじゃないか」とおっしゃってくださった。「こいつ、行き場がないんだろうな」と、僕の立場をわかってくれたんです。この間教わったことは、とてもとてもここでは書ききれません。
今回引退されるのは、他に古賀史生先生、高橋祥泰先生、堀井雅広先生、柄崎孝先生、そして関西の浅見秀一先生。みな僕がジョッキーになった前後の開業で深いお付き合いがあり、計278勝もさせていただきました。少しおこがましい言い方ですが、競馬界を一緒に盛り上げてきたという仲間意識があります。とにかく感謝の気持ちでいっぱいです。
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートする予定。
※週刊ポスト2022年3月4日号