国際情報

トランプ復活、アメリカの実情「ノーマスクの支持者に囲まれて」現地取材

トランプ陣営の選挙ボランティアとして1年にわたる潜入取材を行った横田増生氏

トランプ陣営の選挙ボランティアとして1年にわたる潜入取材を行った横田増生氏

 ロシアによるウクライナ侵攻は、世界情勢を激変させつつある。なかでもアメリカでは、これに伴いバイデン大統領の失速とトランプ前大統領の復活という奇妙な現象が起きている。テレビ解説でもおなじみの池上彰氏が、話題の新刊『「トランプ信者」潜入一年 私の目の前で民主主義が死んだ』の著者・横田増生氏と語り合った。【全3回の第2回】

日本にも「Jアノン」

池上:それにしても横田さんはよくコロナ禍のアメリカで取材しましたね。

横田:2019年12月にアメリカに入国し、トランプ陣営の選挙ボランティアとして1年にわたる潜入取材を行ないました。

池上:ノーマスクのトランプ支持者に囲まれ、身の危険を冒しながら潜入取材されたおかげで、アメリカの実情を知ることができます。熱烈なトランプ支持者はトランプが言ったことを完全に信じるわけですね。特にコロナの初期には「コロナなんてすぐ消える」と発言して、支持者がそれを信じ込んだ。

横田:トランプは記者会見でも自分が中心になりたくて「俺は医者よりもコロナに詳しい」「消毒薬を使えばいい」とでまかせを言った。賢明な人は失笑するけど、言葉通りに受け取る支持者も多いんです。その人たちに「大統領は嘘をついているとワシントン・ポスト紙に書いてありますよ」と言っても、「いや、ワシントン・ポスト紙がフェイクニュースだ」と返すので話が噛み合わない。

池上:現代のネット社会において、人々は「自分の信じたいことを信じる」ようになりました。コロナを風邪とする人とトランプ支持者もかなりダブりそうです。

横田:トランプは在任中、マスクの着用を拒否し、「ワクチンを接種するのは弱虫だ」とのイメージを発信し続けました。おかげで集会に来るトランプ支持者のマスク着用率は低く、多くても4割ほどです。マスクをしたアジア人は僕くらいなので非常に目立ちました。

池上:ただ、そもそもアメリカにはワクチンやマスクを拒否する伝統があります。理由は大きく2つあって、自由を尊び強制を拒む価値観が1つ。もう1つはエバンジェリカル(キリスト教福音派)が、感染症や天変地異は神から与えられた罰であり、ワクチンやマスクをして逃れるのは許されないと考えることです。

横田:実際にアメリカではマスクを拒否した福音派の牧師が何人か死んでいます。しかも福音派はトランプの熱烈な支持者が多い。逆にアメリカから見ると日本人のマスク好きが異常で、「日本ではプライムミニスター(首相)が国民にマスクを配ったんだ」と教えたら、みんな目を白黒させていた(笑)。

池上:2021年1月の連邦議事堂襲撃事件について、最近のトランプは「支持者は平和的に議事堂を訪問しただけだ」と言い始めた。横田さんはあの時、現場を取材していましたね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
青山京子はスキー雑誌の「ミス・スキーガール」でモデルデビュー。1980年3月に出演した『今週のギャル』コーナーで強烈なインパクトを残し、2か月後にカバーガールに採用された
松岡きっこ&小栗香織が語る伝説の深夜番組『11PM』 「新右翼の論客の登場でスタジオに緊張感が充満」「子供が見ちゃいけない番組と思っていた」
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン