「テレグラムとは、ロシアの技術者が開発したメッセンジャーアプリで、全世界で5億人を超えるアクティブユーザーがいるとされています。その特徴のひとつが、“プライバシー保護の強力さ”です。シークレットチャットという機能を使うと、自分が送信したメッセージを相手側の端末からも削除することができます。また、『この時間になったらメッセージを自動消去する』という設定もできます。

 情報漏えいの心配なくメッセージのやり取りができる長所がありますが、その秘匿性の高さが諸刃の剣となり、薬物売買などの犯罪に悪用されています」(三上氏、以下同)

 三上氏いわく、「野菜(大麻)」や「アイス(覚醒剤)」、「手押し(対面取引)」といった隠語を駆使してTwitterでまず募集をかけて、細かいやり取りはテレグラムに誘導するのが薬物売買の常套手段だという。

「シークレットチャット機能により、LINEなど他のアプリと比べて、テレグラムは犯罪の証拠が掴まれにくいのです。とはいえ、いくらユーザー側でデータを削除しても、テレグラム本社には履歴が残っています。テレグラム側に犯罪を助長する意図はないため、然るべき手続きを取れば情報開示の求めには応じるとしています。しかし、どうしても海外企業なので、日本の警察がいちいち情報開示を求めるのは難しい現状があります」(同前)

 テレグラムは薬物売買や特殊詐欺、強盗といった犯罪の温床になっている側面を持つ。ロシア、イラン、中国など、テレグラムの使用を禁止した国もある(ロシアでは後に解禁)。しかし、結局のところは使う側の問題だ。

「ロシアによるウクライナ侵攻の中で、テレグラムは現地における反プーチン派のやりとりや、ウクライナの支援活動にも活用されています」(同前)

 犯罪のために利用するユーザーが一部で混ざっており、テレグラム自体が悪いわけではない。田中が薬物を入手するためにテレグラムを利用していたかは定かではないが、残念ながら同アプリのネガティブなイメージが強まる出来事になってしまった。

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