幼少期の娘を抱くプーチン氏(写真/アフロ)
すべての国に憲法九条があれば戦争は起こらない
ゼレンスキー大統領は他国にも応援を求めている。独裁者を止めるために、NATOやアメリカがもっとウクライナに協力できないものかとつい思ってしまう。 しかし、「じゃあ、あなた=日本が応援すればいいじゃない?」といわれたら返す言葉がない。憲法で他国への侵略を禁じている日本は他国の戦争に加担することはできない。
では、日本も「自衛」隊ではなく、軍隊を持つべきなのか。私はやっぱり持つべきではないと考える。やられたらやり返す、しかしこちらからは手を出さないという姿勢は貫いた方がいいと思う。笑われてもいいけれど、もし仮にすべての国に憲法九条があれば戦争は起こらないはず。そういう世界は永遠に実現しないのだろうか。
NATOやアメリカが弱腰だと非難する声もあるけれど、もしNATOやアメリカが真っ向から参戦したらあっという間に世界第三次大戦になるだろうし、そうなったら地球が壊れてしまうだろう。制度的に、ではなくて、兵器が進化した現在、物理的に破壊されることは予想に難くない。SDGsなどといっている場合ではない。
SNSで、食糧が尽きてしまったロシア兵にパンと紅茶を与えるウクライナの市民の映像を見た。ロシア兵は泣き出していた。一人一人がこうして向き合えば殺し合いになるわけがない。こうした交流が、「私」と「私」だけではなく「国」と「国」でできないのだろうか。
◆甘糟りり子(あまかす・りりこ)
1964年、神奈川県横浜市出身。作家。ファッションやグルメ、車等に精通し、都会の輝きや女性の生き方を描く小説やエッセイが好評。著書に『エストロゲン』(小学館)、『鎌倉だから、おいしい。』(集英社)など。最新刊『バブル、盆に返らず』(光文社)では、バブルに沸いた当時の空気感を自身の体験を元に豊富なエピソードとともに綴っている。