元妻・リュドミラさんと2人の娘と撮影したプーチン氏の家族写真(写真/アフロ)
自分たちの街が、家が、家族が攻撃を受け、誰かを責めたくなる気持ちも分からないでもないが、攻撃する相手を間違えているように思える。
「姉とはなかなか電話がつながりません。砲撃の音が聞こえる度にシェルターに逃げるから。シェルターに入ると数時間は電話がつながらない。心配でたまりません」(Bさん)
今は友達と会うのもためらうのだと言う。
「日本での友達はロシア人がほとんど。みんな日本人と結婚しています。ランチをしようと集まり、戦争の話はしないと決めるけれど、やっぱり戦争の話になってしまう。
ロシア人の中にはプーチンのことを信じている人もいて、『プーチンは正しい。プーチンはウクライナにいるロシア人を助けようとしている』と言えば、『何それ、嘘だよ。プーチンがおかしい』と口論になるんです。友達だと思っていたけど…今は分わからなくなりました」(Bさん)
「どちらに味方するのか」親族間で対立も
ロシア人やウクライナ人女性を雇う外国人クラブのオーナー、Cさんは、「店の奥では毎日のように女の子たちが怒ったり泣いたりしている」と話す。
「女の子たちはテーブルで戦争の話はしません。客も最初は気を使って話しませんが、酒が入ればどうしてもその話になる。女の子たちの中には、プーチンが絶対だと信じている親ロシア派みたいなロシア人の子もいれば、家族がまだ国外に脱出できないでいるウクライナ人の子もいますが、客はそんなことには構わず言いたいことを言う。客だと思うから反論しませんが、彼女たちの胸中は穏やかではないでしょう。
攻撃を受けた場所から120kmも離れた場所に住む家族が、『ここまで爆撃の音が聞こえる』と怯えて電話してきたと話すウクライナ人の子もいます。爆撃を受けている市に家族が住んでいる子は、1時間ごとに店の奥で家族に連絡を取ろうとするがつながらず、その度に泣いています」